佐々木敦&南波一海の「聴くなら聞かねば!」 10回目 前編
ハロプロソングを中心に名曲連発!気鋭作家の仕事に迫る
シンガーソングライター山崎あおいとアイドルソングの作家仕事を考える

佐々木 具体的な曲の話も聞きたいですよね。直近だとアンジュルムの「ハデにやっちゃいな!」が5月にリリースされました。あの曲はどういうふうに作っていったんですか?

山崎 あれはけっこう前に提出していた曲なんです。それこそコロナ前くらいに。

佐々木 そのときはアンジュルム用に書いたんですか?

山崎 いえ、とりあえず書いたという感じですね。

佐々木 そういう形の提出もあるんですね。

山崎 はい。あの曲は単純にライブを見たままのテンションで書いた曲で。確かJuice=Juiceのライブだったと思うんですけど、ステージを歩きながら歌う姿がすごくカッコよくて。ランウェイ的な感じで歌いながら歩いてきたときにドキッとするような無敵感のあるAメロの曲を書きたいなと思ったんです。

佐々木 そういう場合は、テンションが高いまま一心不乱に書いていくんですか?

山崎 それこそ超ノリノリでペンライトを振りながら書いてます(笑)。

佐々木 でも結果的に3年近く楽曲が世に出ることがなかった。

山崎 そうでしたね。コロナ禍になってから、ハロプロのライブもバラード中心になっていったので。

佐々木 世相と合ってないみたいな。

山崎 たぶんそういう事情もあったのかなと思うんですけど。

南波 ノレる曲は、ここ最近ようやくリリースされるようになって。

佐々木 確かにコロナ禍においては、しっとりした曲のほうが優先されたのかも。Juice=Juiceの「がんばれないよ」とか。

山崎 あの曲はがっつりコロナ禍に書いたバラードで。私が担当したのは歌詞だけなんですけど。

南波 もちろん偶然だとは思うんですけど、「がんばれないよ」や、つばきファクトリーの「涙のヒロイン降板劇」は、どうしたって辞めたメンバーのことを想像しちゃいますよね。

佐々木 「がんばれないよ」もそういうふうにしか聴けない(笑)。

山崎 卒業のことは、まったく知らなかったんですよ。リリースのタイミングとか。

佐々木 わかっていて書いたら採用されないですよね(笑)。

山崎 すごいタイミングだなって思いました(笑)。

南波 特に「涙のヒロイン降板劇」のときは誰もが思ったんじゃないですかね。

佐々木 ちなみに「涙のヒロイン降板劇」は僕の去年のハロプロベストソング1位でした(笑)。

南波 たまたま時期的にシンクロしちゃうことがあるんですね。

山崎 そうですね。どの曲をどのグループで、どのタイミングでリリースするとか決めるのは事務所の方で、私は単純に曲を書いて、あとはお任せする感じなので。
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