原油高、円安など、複数の要因で物価が上がり続けています。食費や日用品代、光熱費が値上がりして、じわじわと家計に影響が出始めている今は、家計を見直す好機。
しかし実際に支出を減らし、家計を改善するためには、考え方を切り替えなくてはなりません。(家計再生コンサルタント 横山光昭)

会社員のKさん(54)は、シングルマザー。年金暮らしの父親(82)、大学を卒業したばかりの息子(23)と3人暮らしです。
父親は年金を自由に使っており、生活費はKさんが負担。息子も大学を卒業したものの定職に就かずにいます。つまり、生活費は全てKさんの収入の約23万円が軸になっています。

家計相談に来られたきっかけは、赤字家計を改善し、老後資金をためたいと思ったこと。数年前に債務整理をした経験があり、相談時には貯金がほとんどない状態で、定年時には職場の退職金もあまり見込めない状況でした。
危機感をもって相談に来られたと思いましたし、きっと変わってくれるだろうと思ったのですが、これまで何度家計相談を繰り返しても、改善へ向けた行動ができず、なかなか変われませんでした。

唯一支出が減ったのは、息子さんが大学を卒業した後の数カ月。学費や通学に関するお金がかからなくなり、自然に支出が減りました。その額、月にして5万円ほどです。

しかし数カ月後、その5万円の黒字はすっかりなくなり、また赤字寄りのギリギリ家計となりました。
物価上昇が言われ始めたころだったのでその影響もあるのかなどと考えてみましたが、そうではなく、やはり「浪費」が発生していました。

Kさんは息子へ1万5000円ほどの小遣いを渡すようになり、そのほか、息子にねだられて推しのアーティストに投げ銭をするために2万5000円ほどを渡しています。
せっかく貯金に回せるようになった金額のほとんどを、息子のわがままに費やしていたのです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/174b5eac73599de5460d080d0ac12fd409986c94