Aさんは大学卒業後、正社員として就職したが、上司によるパワハラや人間関係のトラブルが原因で退職。住居は会社の借り上げ住宅だったので、退職と同時に退去。ネットカフェ暮らしを始めた。その間も歩合制の送迎ドライバーの仕事をしており、月収15万円ほどを稼いでいたという。

しかし、家を借りることはできなかった。

「家を借りるには敷金、礼金、前家賃とかで25万円くらいの貯金がないと難しい。自分の場合、日給制で収入も月によってバラバラだから家賃を払い続けられる自信がなかった。あとは前の会社でいろいろあって、人と極力関わりたくないと思っていて……家を借りるとなると大家さんとか近所付き合いとか、煩わしいことがありそうで気が進まなかった」と振り返る。

逆にAさんは「ネットカフェ暮らしそのものは、イメージされるほどきつくなかった」という。送迎ドライバーの仕事は時間が不規則で深夜や明け方まで働くこともあったため、都心のネットカフェは仕事をする上で便利だった。

Aさんは24時間利用で3500円というネットカフェに長期滞在しており、月に換算すれば10万円以上の利用料を払っていたことになる。外食代などもばかにならない。収入はあるが住居を得られない —— “貧困のループ”に陥ってしまっていたと言えるだろう。

その日暮らしを続けていたAさんだったが、ある時、送迎の仕事を請け負っていた店舗が倒産。現在は清掃の仕事をしているが、路上で過ごすことが多くなっている。
https://www.businessinsider.jp/post-163287