音楽はサブスクの時代である。スマホで聴くのであれば、わざわざCDを買う必要はない。

 「『ジャニーズ』や『ハロー! プロジェクト』に所属する多くのアーティストは、まだネット配信が解禁されていないんです。ライブチケットの販売やファンクラブの特典としてCDが活用されているため、ファンはCDから曲を聴くのが主流なんです。アイドル系やインディーズではまだまだCD販売が根強く、サブスク解禁されていません。ファンは曲を聴くために、アーティストを推すためにCDをまだまだ買っています」

好調なセールスを続けるCDレコ。しかし、ヒット商品になるためには、どうしても越えなくてはいけない壁があった。

「当時、CDレコはiPhoneとWi-Fiで接続することしかできなかったんです。そのことが女性ユーザーにとって、使いにくさの理由としていつも挙げられていました」

Wi-Fiに接続するよりも、ケーブルを挿すだけで曲が取り込めるほうが、パソコンが苦手な女性にとっては使いやすい。そのことはアイ・オー・データ機器側も把握しており、既にアンドロイドのスマホとはケーブルで接続することが可能になっていた。
一方、iPhoneと接続するためのライトニングケーブルは、アップル社からなかなか認可がおりず、しばらくリリースすることができずにいた。部品を一から作る必要があり、開発が難航していた。

日本の場合、iPhoneユーザーがスマホ利用者の約半数以上を占める。iPhoneとケーブルで接続できないことは、市場の半分が取れていないのと同意だ。機械が苦手な女性ユーザーにも手に取ってもらえるよう、アイ・オー・データ機器は必死になってiPhoneとCDレコを接続するためのライトニングケーブルの開発に取り組んだ。

しかし、その壁は想像していた以上に厚かった。既に存在しているiPhone対応の商品であれば、それらを参考にして、新たな商品を作ることはさほど難しい話ではない。
だが、アメリカではCDの利用者が日本以上に激減しており、「CDの曲をスマホに取り込んで聴く」という概念そのものが存在していなかった。日本だけではなく、海外でもCDレコーダーとiPhoneを接続するケーブルは存在しておらず、開発は思うように進まなかった。

「認可を受けるのは言葉では説明できないぐらい大変だった」と開口さん。幾度の苦難を乗り越え、2017年にようやくアップル社のお墨付きがもらえたライトニングケーブルが完成。CDレコーダーとiPhoneを接続するケーブルを作ったのは、アイ・オー・データ機器が世界で初めてということもあって、当時のリリース には「世界初」というキャッチコピーが躍った。

CDが売れないサブスク時代に「CDレコ」がバカ売れしている「意外な理由」
https://news.yahoo.co.jp/articles/d97b16a63bcbb405de1459cb86672e199a7899ef