「金融の核兵器」と呼ばれるSWIFT制裁が全面から一部へと縮小し、その一部からも最重要の銀行を除くなど弱められていくのは、エネルギージレンマがあるためだ。

ロシアは世界第1位の天然ガス輸出国であり、世界第3位の産油国でもある。
特に欧州は天然ガスの40%をロシアから調達している。SWIFT制裁でロシアとの原材料決済網が断ち切られれば、欧州経済も大きな衝撃を受けることは避けられない構造となっているのだ。

ブルームバーグやウォール・ストリート・ジャーナルなどの外国メディアの報道によると、欧州連合(EU)が提案したロシアに対する「SWIFT制裁」草案には、
VTBバンク、バンクロシヤ、VEBなどの7行が含まれていると推定される。
これらのメディアは「(制裁対象に)スベルバンクとガスプロムバンクは草案にない」と報じた。

 草案の制裁対象に含まれていないスベルバンクは、ロシアの全銀行資産の約30%を保有しており、ロシアの預金の半分を所有するロシア最大の金融機関だ。国営ガス企業のガスプロムの系列会社であるガスプロムバンク(GPB)も、ロシアのエネルギー大手企業が主に利用している。