IT産業は大もうけができる業界のはずだが……

日本では肝心要のIT業界がこの30年間に、米国をはじめとする世界のIT産業の潮流とは逆行し、前近代的な労働集約型産業に落ちぶれてしまったのだから、話にも何もなりゃしない。確かに最近は、世界の潮流にマッチしクラウドや最新のソフトウエア技術で勝負する新興ITベンダーも増えてきてはいる。だが、いまだに日本のIT業界の主流は、人月商売のITベンダーである。

これじゃ、IT業界の賃金水準は下がることはあっても、上がることは全く期待できないし、実際にそうだった。そんな話をすると必ず「IT業界の賃金水準は他の業界より高いぞ」と言い出す人がいるが、そんなことは当たり前だ。

技術を習得し、デスマーチなどの悲惨な長時間労働に耐えてのことだからな。その点を考慮すると、賃金水準は決して高くない。そして何より多重下請け構造により、その末端での低賃金労働と格差を生み出しているわけだから、働く人が豊かになり損ねた日本を象徴する業界と言ってよい。

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00322/013100029/?P=2