ロシアの“お国柄”と、今回のプーチンが「決断をした」ことからして、北方四島が日本へ返還される可能性があるといえるだろうか。国境を接する主権国家に武力侵攻しようという国とその指導者である。1945年に相互不可侵を定めた日ソ中立条約を一方的に破棄して奪い取った四島を、もはや交渉で日本に返還するなど、想像もできない。

しかも、プーチンは1956年の日ソ共同宣言で合意したはずの二島返還にしても、いわゆる「ダレスの恫喝」で前進しなくなったことを、安倍晋三元首相との共同記者会見の場でひけらかすほど熟知している。むしろ、経済特区に指定して日本の資本を呼び込み、ロシア領土として動かしがたいものにしようとしている。

日本政府が、今後も従前どおりの交渉で北方四島が返ってくると信じているのなら、こんなに能天気なこともない。

それ以上に、ウクライナの危機を目の当たりにして、中国を含めた外交、防衛戦略の見直しを急がないとなると、これほど間の抜けたこともないはずだ。いや、北方領土問題の解決はすでに遅すぎるのではないか。そう危機感を募らせるのは私だけだろうか。