――自分のことはどうでもいいというより、さっきの話じゃないですけど、お客さんを楽しませたいという想いが迸りまくった結果のような。
かっこいいも、素敵も、突き抜けるとギャグ感が滲むじゃないですか。矢沢永吉さんにしろ、岡村靖幸さんにしろ。
堂島くんはポップスやソフトなビジュアルのベールこそあれ、そういう方々と同レベルでギャグ感が爆発してますから。

なるほど、ポップスであることとか、見た目も含めて、そう見えないっていうのがまずフリなんですかね?

――最っ高のフリじゃないですか?

確かに。いつも通り、楽しくライブをしていると、初めてのお客さんからはめちゃくちゃ驚かれるんですよ、“とんでもない!(唖然)”みたいな。
それは僕の問題というより、ポップスっていうジャンルが大人しく見られているってことかもしれない。
そこに対して一石投じたくてやってきたところがあるわけだから、いいのかな、ショッキングなものとして残るのは。
あとひとつ言いたいのは、これは全面的に僕の問題なんですけども、みんながライブを観に行く時の熱量というのを理解しないまま、ライブをやっていたんですよ。

――若くしてデビューしたから、純粋にお客さんとしてライブを観に行く機会が少なかったということでしょうか?

そういう機会がほとんどないまま、仕事としてずっとやってきちゃってるから。
もちろんライブを心待ちにして観に行くことはありましたが、“今回もが買えなかったぁ(嬉)”みたいな感情は全然わからなかったんですよね。
でも、去年、僕はアンジュルムというグループにどハマりして、人生で初めてハロー!プロジェクトのファンクラブに入りまして。

――ファンクラブにまで(驚)。

だってが取れないんですもん。だからどうしてもライブが観たいとか、もうすぐ会える! とかいう気持ちが、デビュー26年目にしてようやく理解できたんです。

――それは新しくも大きな扉を開けましたね。

アンジュルムのおかげで、幕張メッセに初めてプライベートで行ったんです。これまでは関係者入口に一直線だったから、“正面はここなんだ”っていうところから感激しちゃって。
ライブに伴う行為として、アクションを起こすことしかやって来なかったので、リアクションの喜びを知れた。
ライブを観に行くワクワク感を本当の意味で理解できたことは、いいことしかないというか。それが自分のライブにどう活きるのかはわからないけど、きっと還元されるだろうなと思うんです。

――今日の話の流れで言えば、デビュ?30周年に向けて出逢うタイミングだったんじゃないですかね、アンジュルムとも。

これはデビュー時からネタにしてるんですけど、子供の頃から占いをする度に、“大器晩成”と言われ続けてきたんですよ。じゃあその“晩”はいつだ?っていう話じゃないですか。
自分の音楽人生を振り返って、既に第何形態まで来ているのか考えると、新しいことなんてそうそうないよと思っていたのに、僕の場合あるんですよね、こんなふうに。
そしてもしかしたら、これで完成したのかもしれないです、アンジュルムのおかげで。

――なんでしょう、音楽家としての純度が増した気がするのは。

ライブをやるにしても、観に行くにしても、能動的であることが世の中を動かすし。音楽をやる僕の根本にあるのは、変化をつけたいという信念で。
新しいことをするのも、作ったことのない曲を作るのも、変化じゃないですか。だから僕は変化を恐れないし、変化を厭わない生きものにどんどんなっているんだと思うんですよね。
観る側だって、今回はどうなるんだろう? みたいに、今まで見たことのないものが見られた経験や、そこで得る喜びによって何かしらの変化が生まれる。
って考えると、僕がライブでやってきたことはやっぱり間違ってなかったのかな。そして相乗効果じゃないですけど、今後のファン活動にも拍車がかかっちゃうのかなぁ。

――ギターソロで無人のリフターが上がったら、笑ってしまうかもしれません。

でしょ? 今は常に“もしこれをアンジュルムが見ていたら?”という脳みそがあるので。
“この人やばい。マジ面白い”って言われないと、自分がアンジュルムを好きになった意味がないよなぁみたいな。本人不在の使命感で、楽しいことをあれこれ考えてます。
http://spice.eplus.jp/articles/299055