キチガイになって飲む水は格段にうまい。それに加え、喉を乾かし腹を透かしたあとに食う水は、日頃の行いを改めさせてくれる。黄金に輝く、コップの中で、泡が浮かぶ、何時も以上に綺麗なままだ。純粋に美しいと思った、そんな一瞬の現実。飲み込むたびに心臓が鼓動する。重なる、息と心拍が合わさる、広がる、結ばれる。一瞬一瞬が現実、されど理想より高い位置にある幸せが掌に浮かんでいる。最初に飲んだ訳ではないが、自慢したくなる程の旨さだったために自分に甘えてしまったことを深くわびたいと思う。