イルミナティは啓蒙思想の影響を受けており[4]、キリスト教に代わる自由思想や理性宗教の普及を図った[6]。イデオロギー的にイルミナティはフランス唯物論的な急進的啓蒙主義を立脚点とした[5]。イエズス会からの攻撃を受けて地下に潜って以降は、ピタゴラス教などの古代の秘儀と結びついた[7]。設立者のヴァイスハウプトはジャン=ジャック・ルソーやドゥニ・ディドロの思想に大きく影響を受け、自由と平等を何よりも重視した[2]。そして、すべての人は「王」となる素質を潜在的に備えており、教皇・王侯・君主を頂点とする封建制は不要であるから、大衆の霊性を飛躍的に向上させ平等を重んじたユートピア社会を復活させようと考えたのである[2]。イルミナティは理性とキリスト教の隣人愛とに根ざしたユートピア思想を追い求め[15]、世界市民的共和制のなかで自由・平等な人間の自然状態[注 6]を理性によって再建しようとした[10]。儀礼を重視する秘教的共同体たるフリーメイソンとは異なり、イルミナティはイデオロギー的・政治的目的を有していたため政治的秘密結社にも分類できる[8]。