コロナ感染後 元気な小学生に異変が…
2023年4月27日

小学5年生の林煕榮(てるえい)くんは、公園でドッジボールをしていたとき、体に異変を感じました。力が入らず、ボールがうまく投げられないのです。その後、高熱や激しい下痢が続き、近所の病院を受診しましたが、原因はなかなかわかりませんでした。

子どもが原因不明の症状に苦しむケースが国内外で報告されています。子どもたちに共通するのは、いずれもその少し前に新型コロナに感染していたということでした。

コロナの5類移行を前に、多くの人に知ってほしいと、煕榮くん親子が取材に応えてくれました。

大阪府内に住む林煕榮くんに異変が起きたのは、2022年の12月28日。

煕榮くん
「ドッジボールをやってたんやけど、なんか体に力が入らなくて、ボールも全然飛ばんかった。家帰ってから寝てたけど、どんどん体がしんどくなって、経験したことないようなしんどさやった」

高熱と激しい下痢で食欲はなく、昼食もほとんど食べることができませんでした。

煕榮くんがコロナに感染したのは2か月前で、すでに回復していました。

すぐに、自宅近くの総合病院を受診してコロナとインフルエンザの検査を受けましたが、結果はいずれも陰性。

体調は翌日になってもよくならず、下痢はさらに悪化し、首に痛みも出始めていました。

同じ病院をもう1度受診すると、「おたふくかぜではないか」と言われたといいます。

処方された薬を飲み、自宅で療養を続けましたが、症状はひどくなるばかりでした。

母親の侑加さんは、日に日に悪化し、顔色まで悪くなっていく煕榮くんの様子に不安を募らせていました。

年が明け、新年を迎えた元日。

トイレに行こうと立ち上がった煕榮くんは、ふらついて倒れてしまいました。

熱は40度を超え、ただの体調不良ではないと感じた侑加さんは、救急相談の電話窓口(#7119)に連絡。

救急車を呼んだほうがいいとアドバイスを受け、救急搬送を依頼しました。

詳しい検査の結果、最終的に告げられたのは、「MIS-C(ミスシー)=小児多系統炎症性症候群」という、聞き慣れない診断名でした。

新型コロナの感染が世界で拡大して以降、子どもが感染後、川崎病のような症状を訴える事例が欧米を中心に相次いで報告され、「MIS-C=小児多系統炎症性症候群」と名付けられました。

国内では2022年、自治医科大学附属病院の小児科医のグループなどが実態調査を行い、少なくとも64人がMIS-Cと診断されていたことがわかっています。

主な症状は、
▽持続する発熱
▽腹痛・下痢・おう吐などの消化器系の症状
▽全身の発疹やリンパ節の腫れ
▽目の充血(結膜炎)
など。

全身に炎症が起きるため、心臓など臓器の働きが悪くなることもあります。

国内ではこれまで死亡例は確認されていませんが、海外では亡くなるケースも報告されています。