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塩野義製薬のコロナ飲み薬「ゾコーバ」緊急承認見送り、審議継続「有効性推定されない」意見多数
[2022年7月20日22時59分]

厚生労働省の薬事分科会と専門部会は20日の合同会合で、
塩野義製薬の新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」の緊急承認を見送り、審議を継続することを決めた。
塩野義は臨床試験(治験)の最終結果を11月にも提出するとしており、それを踏まえて審議する見通し。
新開発の薬を速やかに使えるよう5月に創設された緊急承認制度の初適用はならず、
現時点で国産初の新型コロナ軽症者向け飲み薬の実用化は実現しなかった。

分科会の太田茂会長は「データから有効性は推定されないとの意見が多くを占めた。
(治験の)結果を待って改めて審議したい」と会合を締めくくった。分科会と専門部会の委員からは異論は出なかった。

会合は公開で実施。提出された資料によると、医薬品医療機器総合機構は治験の中間段階の結果に基づく事前審査で、
緊急承認の要件となる有効性の推定を否定。「現時点で治療選択肢になると判断できない」としていた。

また同時に使えない薬が多く、

動物実験で胎児に異常が出る可能性が示されて妊婦に投与できないことが明らかになり、

会合で委員の専門家からは現場で使いにくいとの意見が相次いだ。ウイルス量の減少を評価する声もあった。

ゾコーバは抗ウイルス薬でウイルスの増殖を抑える働きがあるとされる。
塩野義が公表した治験の中間段階の結果ではウイルス量の減少が見られたが、
頭痛や吐き気など12の症状の改善状況を総合的に評価した場合は偽薬を服用したグループと明確な差は出なかった。
6月の非公開の専門部会では賛否が割れ、透明性と公平性を担保するために分科会と合同で公開審議することを決めた。

塩野義は2月、厚労省に承認申請し、5月下旬に緊急承認制度の適用を求めた。
政府は、承認されれば100万人分を購入することで塩野義と基本合意している。

緊急承認制度は、国民の生命に重大な影響を及ぼす恐れがある病気のまん延を防ぐために必要な医薬品などに適用。
通常の承認と異なり、治験完了前でも、データから有効性が推定されれば実用化できる。

(共同)