ワクチン接種後の死亡数を推定
そこで、ワクチン接種後10日間の死亡推定数に対する実際の報告数の割合を算出してみた。驚いたことに、10日間と6週間と期間に違いはあるものの、その割合は2.3%と米国における推定値とわが国の推定値は完全に一致した。

わが国において超過死亡の増加が観察された2021年5月以降の65歳以上高齢者のワクチン接種後の死亡報告は1061人であるので、2.3%という値を用いるとこの期間におけるワクチン接種後の死者は46,130人と推定された。46,130人という数字は、先に述べた2021年4月から9月末までの65歳以上高齢者の超過死亡数の34,758人と不思議に近似している。


図5
出典:アゴラ(2022年2月18日 鈴村泰)

図2、図4と日米に共通してみられるワクチン接種後9日以内の死亡報告の集積は、極めて特徴的でワクチン接種と死亡との因果関係を示唆していると考えやすいが、報告バイアスの可能性を主張する研究者も多い。すなわち、ワクチン接種直後の死亡は、担当した医療機関や家族も報告するが、時間が経過するにつれ報告しなくなるのでこのようなパターンになるというのだ。

この点について鈴村氏は興味ある報告をしている。わが国で報告されているワクチン接種後の死亡例をa)50歳未満でワクチン接種1回後に死亡したブループ、b)50歳未満で接種2回後に死亡したグループ、c)50歳以上でワクチン接種1回後に死亡したグループ、d)50歳以上でワクチン接種2回後に死亡したグループに分けて、ワクチン接種と死亡日との関係を検討した。

すると、aグループのみ、他の3グループとはパターンが異なっていた。これより、aグループにおいては偶発的死亡が多く、接種後9日以内においては報告バイアスの関与は軽度であると考えられた。b、c、dグループにおいても、同じ条件で報告されているので、接種後9日以内であれば、報告バイアスの関与は考えにくい。

まとめ
私も、鈴村氏が主張するように、ワクチン接種後の死亡は、偶発的死亡とワクチン接種と因果関係がある死亡の合計である可能性が高いと考えている。厚生労働省は、2022年2月4日までにワクチン接種後に死亡した1,474人のうち、1人たりともワクチン接種との因果関係を認めていない。

戦後最大の超過死亡の原因について、今回の感染症疫学センター長の説明で多くの国民が納得するとは考えにくい。厚労省としても、国民の疑問に答える丁寧な説明が必要である。