鈴木センター長は上記の図を用いて、

1)原因は結果に時間的に先行することが知られており、この原則をBradford Hillの因果判定基準における時間的関係性と呼んでいる。大阪、兵庫および全国においては、超過死亡は新型コロナワクチン接種の増加に先立って発生しており、超過死亡の発生と新型コロナワクチン接種との間の時系列は説明がつかない。

2)現時点において、ワクチン接種が超過死亡の原因になり得るという科学的根拠は海外からも報告は見られない

という2点を挙げて、超過死亡の原因としてワクチン接種の関与を明確に否定した。戦後最大の超過死亡が観察されたのは事実であるがその原因としては新型コロナの流行やそれに伴う医療の逼迫を挙げ、従来の主張を繰り返した。

医療逼迫が超過死亡の原因なのか?
新型コロナの流行やそれに伴う医療の逼迫が超過死亡の原因ということであるが、大都市圏のみでなく、コロナによる死者がほとんど報告されていない鳥取県や島根県を含めて、全国一律に超過死亡が観察されていることへの説明が必要である。

わが国で報告されたコロナワクチン接種日から死亡までの日数を示すが、死亡日は接種当日、翌日、翌々日に多く、1週間以内に集中している。ワクチン接種直後から死亡が観察されているのが特徴的である。

2021年1月から9月末までの週毎の超過死亡を示す。破線が予測死亡数を示すが、1月の最終週以降、全国で高齢者のワクチン接種が開始される4月12日までは、観測死亡数が予測死亡数を超えることがなかった。すなわち、この間には超過死亡は見られなかった。ところが、ワクチン接種が開始された翌週からは、一貫して観測死亡数は予測死亡数を超え、9月末までの超過死亡の総数は4万人を超えている。

米国においてはVAERS(Vaccine Adverse Events Reporting System)を用いてワクチン接種後の有害事象が収集されている。コロナワクチンの認可は正式な承認ではなく緊急使用許可(EUA)なので、医療機関や製造販売業者は、ワクチンとの因果関係にかかわらず、死亡例の報告が義務化されている。

2020年12月14日にコロナワクチン接種を開始して以来6ヶ月間に、4,496人の死者が報告されている。死因はわが国と同じく、心臓・血管系の病気が多い。病理医による剖検や死因認証で死因が確定した808人においては46.5%の死因が心臓・血管系の病気であった。

ワクチン接種6週後までの死亡は全例報告が義務ではあるが、米国でも全てが報告されているわけではない。ワクチン接種後6週間の死者のうち、VAERSに報告されたのはワクチン接種者100万人あたり23.6人で、この間に推定される死亡者数は993.3人なので、実際に報告されたのは死者の2.3%に過ぎない。

VAERSに報告された死者は4,496人であるので、実際にはその43倍、19万5千人と膨大な死者が存在した可能性がある。もちろん、偶発的な死亡がほとんどで、ワクチン接種との因果関係があるのは少数に過ぎないと思われる。

わが国においても、有害事象としてワクチン接種後の死亡例の全例報告が期待されているが、実際に厚生科学審議会に報告されているのは死亡例の一部にすぎないのではないかと疑念が持たれている。