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■サイエントロジー批判は「世界標準」

サイエントロジーは、SF作家の故L・ロン・ハバードが創始した宗教団体で、「オーディティング」と称する独自のカウンセリングのようなものを通して信者の精神性を高めることを主要な活動としています。俳優のトム・クルーズなどが入信していることで知られ、ハリウッド関連のニュースでもしばしば取り上げられます。海外ではカルトとして批判されることが多く、その主な理由は、批判者に対する訴訟や恫喝行為です。また、「オーディティング」等の料金が高額で、そういった支払いをさせるほどに信者をマインド・コントロールしているとの批判も根強くあります。

サイエントロジー問題は海外だけの話ではありません。日本でも、弁護士の元に被害相談が寄せられています。複数の被害相談を受けた経験がある佐々木大介弁護士は、こう語ります。

「私が相談を受けた事件に限って言うと、被害額は数十万円から数百万円まで幅があるのですが、中には1000万円以上払わされた方もいました。サイエントロジーはメンバーに対して、コースの全容やトータルでかかる費用、コース全体の修了に要する年月について明確に説明しないまま、とうてい修了しえない数のカウンセリングコースや膨大な分量の教材、高価な器具のためにお金を払わされる例が多くみられます。職場まで押しかけられたり、長時間にわたって執拗な勧誘をされた方もおり、非常に悪質です。加えて、問題なのは、サイエントロジーに対して疑問を抱いたり退会を申し出た会員に対し、『退会するための手続きが必要』などと称して、さらにカウンセリングを受けさせたり新たなコースを申し込ませるなどして、会員個人での退会や返金手続きを事実上非常に困難にしていた点です」(佐々木弁護士)

海外での批判についてサイエントロジー側は「少数派宗教への不寛容」「差別」「異端審問」などと主張しますが、佐々木弁護士は「差別ではなく、悪質な被害例が現に存在し、それが国際的に問題視されていることが理由」だと語ります。

サイエントロジー批判は、まさに日本を含めた「世界標準」です。