『ペスト』(仏: La Peste)は、フランスの作家・アルベール・カミュが書いた小説。
出版は1947年。
1957年に40歳代前半でノーベル文学賞を受賞したカミュの代表作の一つである。
自分たちは結局何もコントロールできない、
人生の不条理は避けられないという考えを力説する。
カミュは不条理に対する人々のさまざまな反応を例示し、
いかに世界が不条理に満ちているかを表した。
あらすじ
【疫病ペストの流行】
はじまりは、リウー(主人公)を階段でつまづかせた一匹の死んだ鼠だった。
やがて、死者が出はじめ、医師のリウーは死因がペスト(疫病)であることに気付く。
【町はパニックに】
新聞やラジオがそれを報じ、
町はパニックになる。
死者の数は増える一方で、最初は楽観的だった市当局も対応に追われるようになる。
【街のロックダウン】
やがて町は外部と完全に遮断される。
脱出不可能の状況で、市民の精神状態も、生活必需品の価格の高騰も相まって困憊してゆく。
一方で富裕な家族はほとんど不自由しない。
ペスト対策による
「実効ある公正さによって、市民の間に平等性が強化されそうなものであったのに、
エゴイズムの正常な作用によって、逆に、人々の心には不平等の感情がますます先鋭化される」に至る。
完全無欠な死の平等だけは残されるが、
誰もこの平等は望まない。
【ペストの猛威】
ペストは猛威を振るい、多くの者が苦しみながら死んでいった。
(略)
【突然のペスト終息】
市中はペスト終息であちこちから喜悦の叫びが上がっている。
主人公は最後にこの様に結ぶ
「私は知っていた、ペスト菌は決して死ぬことも消滅することもなく、
数十年の間、家具や下着の中で眠り続けることができ
おそらくはいつか、
人間に不幸と教訓をもたらすために、
ペストが再びそのネズミたちを呼び覚まし、
どこかの幸福な街にネズミたちを死なせに差し向ける日が来るだろうということを。」