>>37

続きを書くぜ

ステイ先の夫婦が
朝仕事に行ってしまうとな
俺は広い屋敷にただ一人
取り残されてな

運動も兼ねて
毎日チャリでスーパーには通い詰めたが
それより遠くへは
行く気にならなかったぜ
その先どんなにチャリを漕いでも
行けども行けどもひたすら
同じ光景が続くだろうってことは
彼女の運転するレンタカーの車窓から
確認済だったからだぜ

スーパーに行く以外はよ
来る日も来る日も
何もすることがなく
どこにも行くところもなく
退屈で退屈でたまらなかったぜ

あまりにもすることがなかったのでよ
俺は彼女と過ごした10日間の出来事を
こと細かく思い出しながら
日記帳に書き記したぜ

スーパーのカフェで
ステイ先のプールサイドで
日記帳を肌身離さず

ひと通り書き終えた後でもな
何度も何度も読み返しては
細かいところを書き加えていったぜ

俺が今でも
彼女と過ごした10日間
とは言っても
実質8日、繋がったのは4日なんだがよ
その間の出来事を
よく覚えているのはな
こうやって丁寧に書き加えていった
日記帳をその後何度も何度も
読み返したからだぜ