朝日新聞は、事件が小尻記者が追っていた平和相互銀行絡みで起きたことも認めようとしなかった。
だいたい、あの事件では、犯人は、阪神支局に入って迷うことなく小尻記者のもとに直行しており、トイレに行っている可能性とかもあるわけだし、手引きする内部協力者がいなければ、とてもあそこまで完璧に事を成し遂げられなかっただろう。
元週刊毎日副編集長・一橋文哉の『「赤報隊」の正体―朝日新聞阪神支局襲撃事件』を読めば、この事件には、実は“闇の紳士”たちが直接あるいは間接的に関わっていたことが分かる。
そこには誰もが名前くらいは知っている大物も含まれる。どうやらその中心は、他の経済事件にも関係する“エセ同和団体”であるらしい。
著者は、犯人と思しき人物を特定しているが、取材後間もなく病死。事件は時効を迎えて、真相は解明されぬままである。
ただいずれにしろ、この事件が単純な右翼による犯行ではないことだけは間違いない。
あと、被害者である朝日の事件解決に対する消極的な態度は、何か裏があると思わせるが・・・。