3人は4月下旬に関西国際空港から奄美大島に来島し、約1週間かけてオカヤドカリを捕獲。ネットなどに小分けしてスーツケース6個に入れられていた。
奄美市内の宿泊施設の従業員が中から音のするスーツケースを不審に思い環境省へ連絡し、同省の職員が奄美署へ通報し発覚した。

 押収されたオカヤドカリは奄美市内の施設にある水槽で保管・飼育されている。12、13の両日には、奄美市立奄美博物館学芸員で天然記念物担当の平城達哉さん(33)と奄美海洋生物研究会長の興克樹さん(54)が個体を計約14時間かけて識別した。

 平城さんは「所持された数からしても生態系にかなりのダメージが出る可能性がある。国や県と協議が必要だが、今の保管状況もオカヤドカリにとってストレスになるので、個人的には島の海岸に戻す方向で考えたい。
市としては今後ポスター作成や、主要な海岸に看板を設置するなど、普及啓発していく」と話した。

 興さんは「成熟している大型個体も多かった。(6〜8月の)繁殖期を控えており生態系への影響は大きい。
自然環境へ戻す際は、奄美大島内で捕られたものであれば分散して戻しても遺伝子の攪乱(かくらん)などは起きないと見られるが、場所などを考慮する必要がある」と注意を促した。