http://www.pharm.okayama-u.ac.jp/lab/pmaphs/posts/post15.html
ナットウキナーゼ(第1回)
まずナットウキナーゼを口から摂取して本当に効くのか、という点ですが、
医療系の方は血栓溶解剤としてかつてよく使用されていたウロキナーゼ(分子量54 kDa)は注射薬で、
経口薬がないので経口では効かないだろう、と考えるのではないでしょうか。
この疑問に対し2009年のNutr Resには、台湾の健常者や患者45名を対象にオープン試験が行われており
2,000 FU(FUはフィブリン分解ユニット)のナットウキナーゼの2か月服用でフィブリノーゲン、factor VII, VIIIの血漿中レベルが7〜20%低下すると報告されています。

http://www.pharm.okayama-u.ac.jp/lab/pmaphs/posts/post16.html
ナットウキナーゼ(第2回)
ナットウキナーゼは、蛋白質なので消化管で消化され体内(血液中)に吸収されないはずなのになぜ?というメカニズムの話は一先ず横に置いておくとして、
ナットウキナーゼを口から(経口)摂取しても、どうやら抗血栓効果がありそうなことが臨床研究で明らかになっていることは前回記述したとおりです。

http://www.pharm.okayama-u.ac.jp/lab/pmaphs/posts/post17.html
ナットウキナーゼ(第3回)
今回は、第2回で横に置いておいたメカニズムに迫ります。
1995年のBiol Pharm Bullではラットに経口投与したナットウキナーゼは、消化管から吸収されると報告されています。
ただ同じ研究者らが2011年のBiol Pharm Bullに発表している論文では、未消化で吸収されるナットウキナーゼに加えて、消化物として吸収されたペプチド断片等の薬理作用の可能性についても言及しています。
ヒトで、経口投与したナットウキナーゼが消化管から吸収されて血液中で作用を発揮している、という明確な根拠は未だないと言えますが、どうして経口投与で効果があるのかは、実に興味深いところです。