昔、首里の金城というところに人を喰う鬼がいる、といううわさが立った。

その妹が、もしやと思って兄の留守に行ってみると、鍋に人肉が煮えてた。

これは本当だと思い、普通の餅と鉄でつくった餅をこしらえ、

出かけて行って普通の餅を鬼の前で食べてみせると同時に、陰部を出してみせた。

鬼がその下の口は何にする口か、ときくと妹は即座に、

「上の口は餅を喰う口、下の口は鬼を喰う口」

と答えた。

これをきいて鬼は驚いて崖から舌へころげ落ちて死んだ、という話である。

これが今も十二月に各戸でつくる鬼餅(おにむち)の起源とされている。