債権者代位による妨害排除請求
第三者に対する対抗力のない賃借権の場合でも、賃借人が第三者に対して妨害排除請求をする方法はあります。賃貸人の有する、所有権に基づく妨害排除請求を賃借人が債権者代位(民法423条)により行使することもできると考えられます。
最高裁昭和29年9月24日判決は、建物の賃借人は賃貸人に代位して、建物の不 法占拠者に対して直接自己に明け渡しをなすべきことを請求しうると判断し、賃借人に賃貸人の有する妨害排除請求権の代位行使を認めています。
債権者代位権は、本来は債務者の無資力を要件とするものであり、金銭債権の保全の ために行使することが予定されていますが、このように、賃借人が賃貸目的物を使用収 益する権利を保全するための方法としても転用され、その場合には債務者である賃貸人 の無資力要件は不要とされています。