NO4164『サウジアラビアの苦悶』 [2016年06月18日(Sat)]
http://blog.canpan.info/jig/archive/5870

サウジアラビア政府はいま。多くの悩みを抱えているようだ。イエメン戦争を
始めたのはいいが、何時どの段階で停戦し、終戦に持ち込むべきなのか、
全く分からないのではないか。

イエメン戦争の戦費は膨らみ、石油価格の低迷と重なり、金満国家だった
サウジアラビアは、外国にある資産を取り崩し、しかも、外国の銀行から
借り入れをする、段階に入っている。

国内的には経済の悪化で、庶民の暮らしは少しずつ苦しくなってきており、
失業率も高くなってきている。その事は国内と国外からの、反政府の動きが
起こるという、危険性をはらんでいるということだ。

既に、IS(ISIL)はサウジアラビアをターゲットにする、と宣言しており、IS(ISIL)に
よるテロが、サウジアラビア国内で起きている。

サウジアラビアのこうした焦りが、対外政策にも影響し、サウジアラビアの
アーデル・ジュベイル外相はアメリカに対して、シリアのアサドを打倒するよう、
強く要請した。これとは別に、アメリカからの要請もあり、現段階ではサウジ
アラビアはシリア攻撃に、参加しなければならなくなる、可能性が出てきて
いるのだ。

サウジアラビアの空軍はこのため、トルコのインジルリク空軍基地に、戦闘機を
送り込み、トルコとの合同訓練も行っている。それは述べるまでも無く、シリア
空爆を想定してのものだ。

サウジアラビアがいま、強硬にアメリカに対して、シリアのアサド体制打倒を
要求しているのは、その少し前に、アメリカの外交官51人が、シリアに対する
強硬対応を要求したことに、タイミングを合わせているのであろう。

サウジアラビアがアサド体制の打倒を急ぐのは、アメリカとロシアとの間で、
シリアを三分割する案が、具体化してきているからであろう。それはシリアに
クルド自地区、スンニー自治区、アラウイ自治区を作り、それを連邦にしていく
という考えだ。

サウジアラビアはアメリカに対し、空爆の実施、ノーフライ・ゾーンの設定、
セイフ・ゾーンの設定、ノ−ドライブ・ゾーンの設定を要求している。つまり、
できることは全てやってほしい、ということであろう。