俺は事情があって祖母に育てられたんだ。
学校の弁当もばあちゃんが作ってくれてた。
俺の弁当にはいつも卵焼きが入ったんだよね。
砂糖がたくさん入った甘い卵焼きさ。小さい頃から俺の大好物でさ。ばあちゃんが知ってて毎回作ってくれてたんだよ。
中学生の頃のある日の弁当で他のおかずは食べて卵焼きだけ残したんだよね。
別に他意は無かったんだ。ただもう舌が少し大人になってきて甘いおかずを受け付けなくなってきてたんだ。
卵焼きだけ残した弁当箱みておばあちゃん笑いながら言った
「○×ちゃんももう大人だもんねー甘い卵焼きは卒業かな?」
「うーん…そうかもねー」と俺が言うと何か、ばあちゃん笑いつつも少し悲しそうだったんだ。
だから俺あわてて「でも明日食べたいかもしんないから明日のおかずに入れてよ!」て言ったらハイハイってさ。
でもさその日の夜中にばあちゃん急に体調悪くなったの。持病悪化したの。
救急車で運ばれたけどそのまま眠るように……でね、病院に駆けつけてくれた近所のおじさんから言われて色々支度するのに一旦家に帰ったんだよね
そしてなにげなく冷蔵庫開けたら中に卵焼きの具もう用意してあったのね。
俺何かわけわからず取りあえずその場で焼いてみたの、でもばぁちゃんみたいにうまく焼けないの。
あれから20年たちます。俺は調理師になって小さい弁当屋やってます。
幕の内弁当には卵焼きを必ず添えます。ばあちゃんが作ってくれたのと同じあまーい卵焼きです。
でもまだばあちゃんが作ってくれたような美味しい味には近づけないです。
だから時々ばあちゃんに味見してもらってます。
あの日から3日間の昏睡の後に目覚めた祖母は今年で98歳になりますがまだまだ元気です。