豊川先生はかなり心配してくださっていた

――師匠の豊川孝弘七段からお祝いはありましたか。

渡辺 盛上駒をいただきました。かなり前から準備してくださったようで、「自分で使っちゃおうかと思っていたよ」ともいわれました。師匠の稽古先でもお祝いしていただいたとき、目元が少しウルっとされていたんですよ。

 かなり心配してくださったんだと思います。豊川先生はそっと見守るタイプで、ちょっと悩んでいたときは「1杯飲みにいこうか」と声をかけていただきました。アドバイスというよりは、奨励会の経験や丸山先生(忠久九段)との昔話をよくお聞きしましたね。「奨励会の郷田(真隆九段)はまだ弱かった。強いとは思わなかったんだけどねぇ」ともおっしゃっていました。