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足利義満が繧繝縁に座ってる理由を教えてくれ
0001名無しさん@お腹いっぱい。2022/06/20(月) 09:27:34.83
教えてくれ
0002名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/05(木) 02:19:47.06
9月30日、18階建て高層マンションの最上階から身を投げた女性は、現役タカラジェンヌだった。なにが彼女を追いつめたのか。「清く 正しく 美しく」をモットーとする宝塚の舞台裏に潜む「魔物」の正体とは――。

 突然の訃報から一夜明けた10月1日。仲間を突如失った同期生の母は、言葉を選びながら悲痛な胸の内を吐露した。

「うちの子は、今年退団しました。本人が『やめたい』と。宝塚歌劇団は厳しい世界。人間関係だけでなく、劇団、(親会社の)阪急のやり方を含めて、理不尽なこともたくさんあります。でも、うちは無理をさせるつもりはなかった。彼女の自殺の理由は、きっと1つじゃないはず。誰しもに可能性があることなんじゃないかと思います」


宝塚の親会社・阪急電鉄会長の角和夫氏
 兵庫県宝塚市。武庫川に臨む地上18階建ての高層マンションの最上階から身を投じた女性は、トップ娘役になることを夢見たタカラジェンヌだった。

「9月30日、午前7時4分、マンション住民が敷地内の駐車場に女性がうつ伏せで倒れているのを発見し、110番通報。着衣に乱れや事件性をうかがわせる傷がなかったため、自殺と見られています。駆けつけた捜査員が18階を調べたところ、通路に彼女の所持品と思われるビニール製の手提げ鞄を発見し、身元が判明した」(社会部記者)


有愛が最上階から身を投げた高層マンション
 彼女の名前は、宝塚歌劇団の宙(そら)組に所属する有愛(ありあ)きい(25)。1998年4月、有愛は京都市で140年以上続く由緒ある漬物屋に、双子の姉妹の長女として生まれた。15年4月、宝塚音楽学校に入学。17年3月、40人いる103期生として劇団に入団する。

「彼女の妹は1期上の102期生として入団した、雪組の男役・一禾(いちか)あおです。有愛の入団が1年遅れた理由は怪我だったそう。姉妹仲は良く、普段からお互い悩み事を相談していた。最近はお父さんが所有するマンションに2人で暮らしていました」(演劇評論家)

有愛の初舞台は17年4月。順調にキャリアを重ね、将来を嘱望された。

「宙組67人の中で歌唱、ダンス、芝居と3拍子揃った中堅どころ。とりわけ歌唱力に定評がありましたが、娘役にしては身長164センチと背が高いため『トップ娘役になるのは難しい』と言われていました。明るい性格で、下級生の面倒見も良かった」(同前)

 宙組公演「PAGAD」が初日を迎えたのは、9月29日のこと。その日、有愛は普段と変わらぬ様子で舞台に立ったが、その翌日、彼女が宝塚大劇場に姿を現すことはなかった。

「劇場では『休演者』扱いになっていた。当日午後、『宝塚舞踊会』の稽古を終えた妹の一禾は事態を知り、その場で泣き崩れていました」(舞台関係者)

 宝塚という舞台でスポットライトを浴びた約6年間。彼女の心を蝕み、死に追いやった魔物の正体は、いったい何なのか。
0003名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/05(木) 02:21:52.51
宙組はまさに“学級崩壊”

「あの子は成績優秀者だし、新人公演を仕切る資格は十分ありました。しかし、負担が相当大きかったことは事実でしょう。宝塚には5つの組がありますが、月組には7人、花組には8人の103期生がいるのに対し、宙組は有愛さん含めて3人。おまけに男役の亜音有星(あのんゆうせい)は休演中。有愛さんが中心となり、実質2人で新人公演の準備をしなければならなかった」(前出・舞台関係者)

 宝塚には、入団1〜7年目の生徒だけで行う新人公演という舞台がある。本公演の期間中、各劇場1公演のみ若手が普段上級生がやる役を演じるのだ。ファンにとって次世代スターを見つける機会、若手にとっては将来の飛躍に繋がる檜舞台である。最年長の7年目として新人公演の宙組リーダーを任されたのが有愛だった。新人公演の演出は本公演を担当する演出家ではなく、演出助手が担当。多くの生徒が舞台上で輝けるよう配慮するのが通常の姿だった。ところが――。

「ここ数年は生徒たちがフォーメーションなどの演出を一部差配するのが慣例になっていた。彼女たちが演出に深く関わると、どうしても軋轢が生まれてしまう」(宝塚関係者)

 演出をめぐり、有愛は次第に孤立を深めていく。

「下級生から『なんであの子があの位置なの。公平じゃない』などと突き上げを受けていました。宙組は、よく言えば自由闊達。悪く言えば、上下関係の規律が乏しい。まさに“学級崩壊”で彼女は板挟みになっていた」(同前)

 それに加え、有愛を苦しめたのは、上級生からの度重なる罵声だった。有愛の知人が重い口を開く。

「新公長(新人公演のトップ)として、上級生から尋常ならぬ怒号を浴びせられていた。“指導”と称した説教は夜中まで続き、亡くなる直前は深夜12時過ぎにまで及んでいました。宙組には新人公演のメンバー以外の上級生が約20人いますが、世話役である組長やトップスターは見て見ぬふりをしていました」

 実は、こうした言動は、宝塚の“お家芸”とも言えるものだ。小誌が入手した、宙組に所属する別の期の数十人の生徒が名を連ねるグループLINE。そこには、常軌を逸した“集団リンチ”の様子が克明に刻まれている。ある時は、稽古でミスを連発した下級生が集中砲火を浴び、〈まじでいい加減にしろよ〉〈お前、ぶっとばすぞ〉〈一刻も早く謝れよ〉というメッセージが深夜まで絶え間なく続く。下級生が〈すみません〉と謝罪しても〈許さねえから〉と拒絶。ほとぼりが冷めると、上級生は次の標的に狙いを定め、同じ言葉を投げかける。

「“お叱り”と称して、下級生を寮のロビーに呼び出し、深夜から朝6時まで拘束。一睡もさせてもらえず、6時半に劇場に行くこともあった。一度上級生のターゲットになれば、衣装は破かれ、小道具は隠される。小道具の担当者は、それらが隠されたり捨てられたりすることを想定し、多めに作っているほど。また、上級生に『メイクの仕方を教えてあげる』と言われ、目の中に白粉をねじ込まれた下級生もいます。ストレス性難聴や適応障害になり、通院している子も多い」(前出・宝塚関係者)

 冒頭とは別の有愛と同期の元団員の母は、宝塚を「異常な世界」と評する。

「舞台での立ち振る舞いに関する上級生からの罵倒やクレームは日常茶飯事。うちの娘は、人格を否定するような言葉を投げかけられることもありました。上級生からダイレクトに注意をされるのではなく、まるで伝言ゲームのように上級生が下の代に、さらに下の代に伝えていく」

 もっとも過酷なのは新人公演に向けた稽古だという。
0004名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/05(木) 02:24:01.01
「稽古は本公演の合間に深夜まで続く。生徒たちはちゃんと本番を迎えることができるのか、プレッシャーに晒されながら過ごしていますが、演出家や上級生に意見を言うことはできない。そんなことをすれば、干されるのがオチ。いくら努力しても演出家などの覚えがめでたくない子は役が与えられないのが宝塚なのです」(前出・舞台関係者)

 有愛の転機となったのは、21年夏の宙組公演「シャーロック・ホームズ−The Game Is Afoot!−」。彼女が新人公演で抜擢されたのは、ホームズの相棒であるワトスンの恋人・メアリー役だった。本公演でその役を演じたのは、14年に100期生として39人中5番の好成績で入団した天彩峰里(あまいろみねり)。事件が起こったのは21年7月20日の新人公演の直前のことだ。

「天彩が有愛に対し、『前髪の作り方を教えてあげる』と言い、高温のヘアアイロンを彼女の額に押し付けたのです。有愛はショックを受け、新人公演のときはギリギリの精神状態で出演していたといいます」(宙組関係者)

 有愛は体調不良を理由に、同年の秋冬公演「プロミセス、プロミセス」を全日程休演している。

「有愛が親族に相談し、親族が怒ってプロデューサーに話したことで劇団が知ることになったのです。ところが、有愛は泣きながら『天彩さんが怖いから大事にしたくない』と訴えた。さらに、天彩は『私、そんなことしません』と事実無根を主張したため、事件はなかったものとして蓋をされたのです」(同前。改めて劇団に問い合わせたところ「前髪づくりを手伝った際、『誤ってあたってしまった』と両当事者からの証言を得ております。『押し付けた』事実はありません」と回答)

 小誌は今年2月9日号でこのイジメ疑惑を報じた。すると、有愛は「天彩さんに申し訳ないことをした」と話し、みずからを責めたという。実は、この一連の経緯にこそ宝塚の“病理”が横たわっているのだ。

「劇団は不都合な出来事は一切公表せず、口癖のように『事実無根』と繰り返して隠蔽。そのまま立ち消えになるのが、いつものパターンです。生徒たちは同期愛が強く、『同期が分かってくれているならいい』と耐え忍ぶ。大事にすると、プロデューサーや制作部長から干されてしまう。役が欲しい生徒たちは、宝塚ファンである親のためにも健気に耐えるしかない」(同前)

 劇団の隠蔽体質が垣間見えるエピソードは、そればかりではない。小誌は、今年1月19日号で「宝塚娘役を追い詰めたトップ 真風涼帆の陰湿イジメ」と題した記事を掲載。宙組トップスター(当時)の真風涼帆(まかぜすずほ)が、相手役だったトップ娘役の星風まどかを「下膨れ顔」「デブ」などと罵倒し、1時間の正座を強いていたことを報じた。その顛末を知る俳優が、匿名を条件に打ち明ける。
0005名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/05(木) 02:26:14.89
「一連の記事が出た後の2月上旬、組長が上級生と下級生を招集し、組子全員の前で『弁明会』を開いた。それは、名前を呼ばれた生徒が『そのようなパワハラはなかった』と話していくというもの。一事が万事、『事実無根』の一点張り。ところが、有愛さんを含む下級生は、発言の機会すら与えられなかった」

 記事の掲載後、宝塚の体質などに疑問を抱いた有愛の同期生2人が退団。時を同じくして、有愛に降りかかる重圧は、物理的にも限界を超えていた。

「個々の演者の負担があまりに大きすぎます。公演中におしぼりが配られたのかを確認する『おしぼり表』や、音源の掛け方などを詳細に記入するマニュアルの作成から衣装、小道具の扱いに至るまで仕事は多岐にわたる。本来、演者は稽古時間を確保しなければいけない。それなのに、劇団はスタッフがやればいいことまで演者に丸投げなのです」(元劇団スタッフ)

 多くの生徒が心身の不調を抱える中で、劇団は彼女たちの精神的なケアを行ってこなかった。有愛を知る別の同期生の母が嘆く。

「それでも歌劇団の世界しか知らない子たちは辞めることはできないんです。周囲からも『せっかく難関を突破したのに』と言われ、自分を追い詰めてしまう。劇団はそんな思いに付け込み、『不満があるなら辞めればいい』というスタンスを貫いています」

 10月1日、「宝塚舞踊会」が兵庫・宝塚バウホールで4年ぶりに開催された。開演前、木場健之理事長は観客に対し、次のように挨拶したという。

「昨日の報道については哀悼の意を表します。しかしながら、現段階では詳細は公表しません」

 さらに木場理事長は翌日、「お客様にはご心配をおかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます」という、わずか305文字の紋切り型のコメントを公表したのだった。

「不祥事などが起こると、みずから説明することはなく『報道が出たので』として声明文を発表するだけ。自ら矢面に立つことを嫌い、会見を開くことはありません。今年5月15日、『1789〜バスティーユの恋人たち〜』の取材会では、星組トップスターの礼真琴が『千秋楽から約2カ月の休養を取る』と、みずから発表。本来であれば理事長が会見で発表するべきで『生徒を全く守っていない』と非難囂々でした」(前出・宝塚関係者)
0006名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/05(木) 02:27:18.44
死の前日、母に送った言葉

 多くの関係者の証言から浮かび上がるのは有愛が新人公演の準備を進める中で、過度な緊張とストレスに苛まれ続けていた姿だ。9月28日夜には上級生から強烈な罵声を浴びせられた。肉体は竦(すく)み、精神は悲鳴を上げている。9月30日早朝、手提げ鞄を手にした有愛は、いつも通りのガーリーな普段着に身を包み、17階の自室を出た。10月19日の新人公演の本番に向け、初稽古が行われる日だ。だが、彼女は下層階に降りることなく1つ上の18階に歩を進める。滔々と流れる武庫川の先には、宝塚大劇場の鳶色の屋根が見える。彼女は鞄を通路に置くと、何百回と足を運んだ憧れの聖地に向かって身体を前傾させ、一気に身を委ねた――。

 実は死の前日、有愛は母に、こんなメッセージを送信している。

〈28日夜にはマンションから飛び降りることを決めていた。精神的に崩壊している……〉

 彼女の母は、熱心な宝塚ファンだった。姉妹の活動を誰よりも応援し、二人三脚で俳優生活を支えた。母の隣には、漬物屋の経営者として何不自由なく育ててくれた寡黙な父がいた。

「お父さんはSNSなどでも家族のことを喧伝しないのですが、ある日、数人で食事をしたとき『娘が宝塚にいるんだ』と嬉しそうに話していたことが印象的でした」(別の知人)

 10月2日、娘を亡くした母は関係者に対し、一通のメールを送信した。

「皆様のお気持ちは有り難く頂戴いたしますが、家族だけで見送ってやりたいと思っております。告別式は10時45分からです。今まで有り難うございました」

 悲痛に満ちた家族の声を宝塚はどのように受け止めたのか。生徒の間で横行するパワハラ、精神的ケアの対策等について尋ねると、書面で次のように回答した。

「ご親族の心情ならびに弊団員の心身の状況を考えると、このような時期に、プライバシーも含めた質問に対して回答することは致しかねます」

 103期をよく知る劇団関係者が憤りを隠さず言う。

「劇団は絆が深かった有愛さんの同期に対してすら、いまだ自殺の詳細を伝えていません。彼女たちは劇団に対して働き方の見直しや精神的ケアの必要性を訴える意見書を提出することを計画しています」

 1人の俳優の死が、旧態依然とした劇団に大きな風穴を開けようとしている。
0007名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/13(金) 14:48:15.89
「タカラジェンヌ(25)自殺の真相」宝塚歌劇団は壮絶イジメを8カ月放置した《内部告発続々》

「マインドが足りない!」「噓つき野郎」「文春なんてどうでもいい」。先輩たちから罵声を浴びせられた彼女は2日後、自ら死を選んだ。小誌が2月に報じたイジメ問題を「事実無根」と断じて放置した宝塚は、自殺後に突如、説明を一変させた。

9月29日、宝塚大劇場で開幕した宙(そら)組公演「PAGAD(パガド)」。その舞台は、彼女が宝塚歌劇団に捧げた8年余の集大成になるはずだった。

稽古が始まったのは、8月15日。入団7年目の有愛(ありあ)きい(25)は、兵庫県宝塚市にある自宅マンションと宝塚大劇場を繋ぐ宝塚大橋を往復する日々を送っていた。だが、劇場の5階にある稽古場に足を踏み入れた多くの生徒たちは、間もなく宙組に漂う不協和音を肌で感じることになる。

「ちょっと来て」

稽古中、有愛が上級生らに頻繁に呼び出され、そのたびに彼女は身体を硬直させた。顔を曇らせた有愛に容赦なく詰め寄るのは、宙組67人を束ねる組長の松風輝(あきら)と、男役トップスターの芹香斗亜の2人。厳格な上下関係に支配された劇団に身を置く有愛が10期以上離れた上級生と向き合えば、萎縮するのは当然だった。宙組の生徒の1人が、匿名を条件に打ち明ける。

「有愛さんは2人から『あんたが下級生をまとめないでどうするんだ!』と執拗に怒鳴られ、連日連夜、泣きながら謝り続けていました。あるときは廊下に連れ出され、周囲から遮断された空間で叱責されていた」

彼女がみずから命を絶ったのは、それから約1カ月半後の9月30日。自宅マンションの18階から視線を落とすと、武庫川を挟み、宝塚大劇場の屋根が見える。彼女は劇団の聖地に向かって身を投じたのだ。

若きタカラジェンヌが自死を遂げてから1週間後の10月7日。宝塚歌劇団の木場健之(こばけんし)理事長が初めてメディアの前に姿を現し、「大切な仲間の命が失われ、極めて厳粛に受け止めています」と述べた。宙組公演は休演となり、10月8日までの予定だった休演期間が22日まで延長された。

「会見では、外部の弁護士らで構成された調査チームが宙組の六十数人から聞き取りを行い、自殺の経緯を調べると発表した。自殺の翌日、木場理事長は『宝塚舞踊会』の開演前に観客に対して『詳細は公表しません』と発言。劇団は『お客様にはご心配をおかけし、深くお詫びします』とコメントするのみ。隠蔽体質に批判の声が殺到し、今回ようやく重い腰を上げた格好です」(スポーツ紙記者)

小誌は前号で「宝塚宙組娘役(25)を自殺に追いつめた罵声、隠蔽、板挟み」と題し、有愛が受けていたイジメの実態や、それらを隠蔽する劇団の歪な構造について報じた。その後、小誌には有愛を知る宙組の生徒たちを含む内部の関係者からの情報提供が相次いだ。十数人の告発によって克明に浮かび上がったのは、彼女を死に追いやった魔物の正体である。
0008名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/13(金) 14:49:32.82
「マインドがないのか!」

入団1〜7年目の若手が普段上級生がやる役を演じる新人公演。ファンにとって次世代スターを見つける機会として注目度が高く、若手には輝かしい将来を約束する檜舞台になる。最年長の入団7年目として新人公演のリーダーを任されていたのが有愛だった。だが、前述のように稽古場の一面には茨が敷かれていた。本公演初日を翌日に控えた9月28日朝8時半。有愛は約50人の下級生全員を集め、みずからを鼓舞するように話した。

「失敗を皆で共有して繰り返さないようにしよう」

通し舞台稽古のため、楽屋入りしたのは午前10時のこと。だが、そこで繰り広げられたのは、下級生らが思わず目を背けたくなる暴力的な光景だった。

「稽古中、有愛さんは4人の上級生から『下級生の不手際は、すべてお前の責任だ』と“集団リンチ”のような目に遭っていました。舞台袖の出番直前にも彼女たちが有愛さんに執拗につきまとって大声を出す。休憩中にも、代わる代わる延々と詰め寄られていました」(前出・生徒)

詰め寄った4人のうち1人は、宙組最年長の松風だ。

「マインドが足りない。マインドがないのか!」

有愛に顔を近付け、何度も罵声を浴びせる。休憩時間には芹香が有愛を睨め上げ、若手の態度について大声で罵る。続いて新人公演で有愛が演じる役を本公演で担当する花菱(はなびし)りずの怒鳴り声が教室内に響き渡る。

「この嘘つきが!」

殿(しんがり)に控えていたのは、元プロ野球選手の清原和博の親戚として知られ、ファンから「きよ」の愛称で呼ばれる優希しおんだ。彼女は花菱と歩調を合わせるように「嘘つき野郎!」と面罵。有愛を監視し、プレッシャーを与え続ける役割だった。この場に居合わせた劇団関係者が言葉を続ける。

「花菱が怒鳴った後は、必ず優希が便乗して有愛を怒鳴りつける。優希は陰湿な下級生イジメの常習者で下級生は皆恐れています。花菱はあえて優希を有愛に当て付け、叱るように仕向けているように見えました」

宝塚大劇場の2階。舞台袖の廊下を挟むと、前方に生徒たちの楽屋が広がる。さらに進むと、カーテンで仕切られた4人分のスペースにぶち当たる。組長、副組長、トップスターらが座する通称「幹部部屋」である。その日、静まり返った“奥の院”に、ドスの利いた怒号が轟いた。

「文春なんてどうでもいい! 言いたいことを言わせてもらう!」

カーテンの向こうには、下級生の化粧前がある。おのずと耳に入ってくる芹香の罵倒に慄いた彼女たちは皆、目を伏せた――。
0009名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/13(金) 14:51:40.63
「なんで、あんたが泣いてんの!」

小誌が「宝塚イジメ新疑惑 ヘアアイロンで後輩の顔をヤケドさせたトップ娘役候補」と題した記事を掲載したのは今年2月2日発売号。21年夏の宙組公演「シャーロック・ホームズ −The Game Is Afoot!−」の新人公演に際し、有愛は娘役の2番手だった天彩峰里(あまいろみねり)に教えを請うていた。ところが、ある日、高温のヘアアイロンを額に押し付けられ、火傷を負ったというのだ。小誌は今年1月30日、このトラブルについて劇団に事実確認を求める取材趣意書を送付。劇団は「全くの事実無根です」と回答し、事案自体の存在すら否定した。だが、10月7日の記者会見で小誌の報道について問われた木場理事長は、一転して事案を認め、次のように語った。

「上級生から下級生に髪形のアドバイスをするということはよくあることで、教えている際に誤って当たったことがあるというのは両方から聞いている」

劇団の回答は「事実無根」から「故意ではなかった」と大きく後退。木場理事長は事実の裏付けとして当事者2人から聞き取りを行い、「周りの人々にも聞いております」と言う。だが、その場に居合わせた複数の生徒や劇団関係者の証言から見えてくるのは、陰湿なイジメに他ならない。

有愛の知人が言う。

「この事件を巡って、有愛さんは宙組の『お父ちゃん』と呼ばれる世話役や、総務部長にもメンタル面の辛さを訴えていましたが、劇団側は取り合わなかった。彼女が苦にしていたのは文春に記事が掲載されたこと自体ではなく、イジメの事実をなかったことにされ、むしろ総攻撃されたことによる絶望だったのです」

遡ること約2年前。21年8月のある日の出来事だ。天彩に呼び止められた有愛は、こんな言葉を交わした。

「芹香さんから『有愛に前髪を教えてあげて』と言われたからさ」

「でも、ヘアセットは自分でやります」

ロッカー室に連れて行かれた後、しばらくして有愛は下級生のいる楽屋に戻る。だが、彼女たちは有愛の額を一瞥し、目を剥いた。3センチほど赤く、皮膚が捲(めく)れていたのだ。その場に居合わせた下級生が当時の様子を打ち明ける。

「あまりに痛々しかったので、たくさんの生徒が心配して集まり、『どうしたんですか』と声を掛けていました。有愛さんは涙を堪えて『自分でアイロンをすると言ったのに奪われて、押し当てられた』と。火傷を負わせた天彩さんは、痛がっている有愛さんを部屋に残して退室したそう。彼女はナースが常駐している劇場内の診療所へ塗り薬をもらいに行っていました。数日後、患部は黒ずみ、かさぶたになっていました」

下級生の多くは、日常的に繰り返された天彩の虐待行為を鮮明に記憶している。

「当時、天彩さんは出番直前まで有愛さんに怒鳴り散らしていました。そればかりでなく、新人公演の髪飾り、カツラ、アクセサリーなどを何度も作り直すように命令。夜通し作業をさせ、寝不足で声が出なくなるように仕向けていたのです。有愛さんは次第にボロボロになり、多くの仲間が心配していました」(同前)
0010名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/13(金) 14:53:03.25
その延長線上に起こったのが、ヘアアイロンを巡る事件だったのだ。果たして、有愛の額にできた傷跡は過失によるものなのか。火傷の症例を多く診てきた東京メディカルクリニック平和台駅前院の木島豪院長が次のように解説する。

「火傷は重症度別にT度、U度、V度と分かれています。T度は表皮が赤くなる程度で数日経てば良くなります。U度は真皮まで火傷が達している状態。有愛さんのように皮が捲れて水膨れができているということであれば、U度に該当する可能性が高い。その後、かさぶたができているのなら、なおさらでしょう」

複数の下級生が目にした有愛の火傷痕は、過失で起こりうるものなのか。

「ヘアアイロンが130〜160度と仮定すると、体の他の部位と比べて皮膚の薄い額であっても、2〜3秒程度押し付けないと皮が捲れるほどの火傷にはなりません。当院にも『ヘアアイロンが当たってしまった』という火傷に関する受診はありますが、大体T度。彼女のようなU度の火傷は『たまたま当たってしまった』というレベルではありません」(同前)

小誌の発売日翌日である2月3日。さらに有愛を奈落の底に突き落とす出来事が起こる。幹部部屋に呼ばれた有愛を待ち受けていたのは、組長(当時)の寿(ことぶき)つかさ、トップスター(当時)の真風涼帆(まかぜすずほ)、松風、そして芹香。化粧前に陣取った4人は眉間に縦皺を刻み、代わる代わる有愛を罵った。

「下級生の多くが目撃しているにもかかわらず『イジメじゃないよね。わざとじゃないよね』と繰り返し確認。事実を捻じ曲げるように延々と圧力をかけ続けていました」(前出・下級生)

その後、天彩と有愛を含む宙組の生徒が集められ、話し合いの場が設けられる。それは、さながら“糾弾会”のようだった。

「真風さん、芹香さん、天彩さんが口々に『この記事は事実無根』と主張することで有愛さんに全責任があるという結論になりました。天彩さんは、あたかも自分が被害者のように号泣。上級生が肩を擦って慰めていました」(同前)

終盤、その場を取り仕切っていた真風が口角を上げ、腹の底から声を張り上げる。

「全ての出来事を忘れて、さぁ切り替えてこれから頑張ろう!」

張り詰めた緊張が一瞬で緩和し、上級生たちに笑顔が戻る。憧れのトップスターの言葉に感動し、滴る涙を拭う者もいたという。

「まるで白々しい茶番劇を見ているようでした。しかも、その間、有愛さん本人には一切の発言が許されなかった」(前出・下級生)

終了後、有愛は過呼吸になり、1人廊下で泣き崩れた。そこに芹香が通りかかり、顔を至近距離まで近付け、言葉の牙を向ける。

「なんで、あんたが泣いてんの!」

芹香を始め、宙組の上級生の多くが有愛本人を小誌の情報源であると決めつけた発言をしているという。だが、それこそ「事実無根」である。

一連の経緯から浮き彫りになるのは「清く正しく美しく」に囚われた劇団と、閉鎖集団の中で我を忘れた上級生たちの姿だ。前出の生徒が悲嘆に暮れて言う。

「この組織の中にいると、事実が真反対の結論になる。この世界の本当の恐ろしさが身に沁みてわかりました。実際、この出来事を境にして、もともと有愛さんを庇っていた組子も戦う気力を失い、有愛さんは次第に孤立していったのです」

有愛を庇っていた2人の同期生は、芹香らから幹部部屋という“伏魔殿”で痛罵を浴びせられ、相次いで退団した。理解者を失った有愛は、周囲に「もう辞めたい」「死にたい」と漏らすようになる。
0011名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/13(金) 14:54:14.60
4人の上級生から総攻撃を受けたのは9月28日。その翌日の29日、初日公演が幕を開けた。

「通し舞台稽古では、自分の出番に間に合わない出遅れが多発するなど下級生の失敗が目立っていた。散々絞られた有愛は、それでも1つ下の下級生を集め、上級生からの注意を改善するための話し合いをしていた」(前出・劇団関係者)

その日、多くの生徒や劇団関係者が、彼女の変化に気付いている。前出の下級生が振り返る。

「有愛さんは舞台化粧をする間もないほど忙しく、上級生から下級生の粗相について怒られていました。いつもは細かく綺麗に化粧を施すのに、その日は大雑把に塗っただけ。公演後、新人公演のメンバーで集まった際にはやつれた表情を浮かべ、話しかけられないほどでした。その一方で、気力を振り絞り、新人公演のヒロインに優しく丁寧に歌を教えていた」

会見で木場理事長は「亡くなる前に様子がおかしいなどはなかったか」という記者の質問に対し、「いつもと変わらなかったと聞いている」と発言。死の直前の変化すら覚知できない管理体制であれば、それ自体批判を免れまい。

その日、有愛は泣き腫らした顔で大劇場を後にする。時計の針は、夜10時をとうに過ぎていた。こうしてなんとか初日公演を乗り切った有愛は同日、母に対し〈精神的に崩壊している〉というメッセージを送っている。

公演2日目の30日。本公演が終わった後の夜8時からは新人公演の稽古がスタートする予定だった。しかし、彼女が宝塚大橋を渡ることはなかった。

同日午前、劇団が有愛を「休演者」として発表すると、芹香ら上級生は「代役はどうする」「本当に迷惑だ」と口々に言い合った。その場で上級生の1人がLINE電話をかける。通話の相手は、有愛の妹で雪組に所属する一禾(いちか)あお。スピーカー機能を使って「有愛は何してるの。復帰は!」と詰問する様子を複数の下級生が目にしている。

その後、事態は急展開を迎える。同日夕刻、プロデューサーから有愛の自死を知らされた宙組の生徒は騒然となった。突然降り掛かった仲間の死に嗚咽する下級生。そのうち数人は錯乱状態のまま過呼吸に陥った。混沌の中心にいた芹香と松風は気丈な振る舞いに徹し、こんな言葉を交わしていた。


“外部漏らし”はご法度

「それでも私は公演をやりたい」

「休みたい人がいるなら、できる人だけでやればいいじゃない!」

この時、芹香はパニックに陥る下級生に「さぁ頑張ろう」と発言している。

「今回の宙組公演は芹香さんのトップ披露公演。みずからやり遂げたい思いが強く、生徒たちを発奮させるために言ったようですが、28日に怒鳴り散らした様を見ていた生徒たちは『自分の言葉が自殺の引き金になった可能性を自覚していないのか』と唖然としていた」(前出・劇団関係者)

自殺の翌々日、一堂に会した上級生たちは「早く公演を再開させたい」という意見で一致したという。
0012名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/13(金) 14:55:25.40
「芹香さん、松風さんら上級生も、劇団という閉鎖的な組織の犠牲者でしょう」

そう話すのは、彼女たちを知る宝塚関係者である。

「10年近く、劇団は業績ばかりを追い求め、生徒にチケットの販売の責任を押し付けてきた。親会社の阪急阪神東宝グループから天下りしてきた総務部長と制作部長は『代役を立ててでも休演はするな』という考え。利益優先のあまり、生徒たちの精神的ケアを長年怠ってきたのです。芹香さんだって、そういったプレッシャーの中で精神的に限界に達していました」

今回の宙組公演に際し、芹香は有愛に対し「あんたがリークした文春のことがあったから宙組はチケットが売れなくて困っているのよ」と責任転嫁するなど、焦りを見せていた。

これまで小誌は宝塚におけるイジメやパワハラを再三報じてきた。しかし、その度に不祥事を隠蔽し、外部からの指摘に対しては「事実無根」で貫き通す。宝塚では内情を外に漏らすのは「外部漏らし」と忌み嫌われ、親兄弟に話すことも許されない。ネガティブな記事が掲載された日には、「外部漏らし」の犯人探しが執拗に行われる。劇団はこうした負の“行動様式”を変えずに令和の時代に足を踏み入れた。だが、自らを顧みることなく同じ轍を踏み続けた結果、悲劇の連鎖を招いてしまった。有愛を知る同期生の父が、嘆息しながら言う。

「有愛さんに対して『死ぬくらいなら逃げれば良かったのに』と簡単に言うけど、逃げることすらできないほど精神的に追い込まれていたのでしょう。劇団は隠すばかりでなく、事実はしっかりと認めて、今後どうするのかを示すべきです」

有愛の死によって暴かれたのは、110年の伝統に胡座をかいた劇団の底知れない“翳(かげ)”の一面だった。

「目下、宙組では数十人単位の退団希望者が出ており、収拾が付かない事態になっている。『調査チームの聞き取りに対応するのも心理的に辛い。辞めさせてほしい』という生徒も少なくない」(前出・宝塚関係者)

一連の経緯について宝塚に質問状を送ったところ、「ご親族の心情ならびに弊団員の心身の状況を考えると、このような時期に、このような仄聞に基づく質問に回答することは致しかねます」と回答があった。

下級生の1人は小誌の取材に対し、次のように有愛への感謝の言葉を述べた。

「素敵な笑顔で周りを明るくし、優しく下級生全員に気を配っていただきました。舞台に対する熱い気持ちを人一倍お持ちで、下級生の士気を上げ、引っ張ってくださいました」

こうした声すらも宝塚は放置し、また隠蔽するのか。

source : 週刊文春 2023年10月19日号
0013名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/18(水) 21:58:30.49
宝塚は5年前の飛び降り事件も隠蔽していた 《真相追及第3弾》タカラジェンヌ飛び降り事件「週刊文春」編集部2023/10/18

“飛び降り”は今回が初めてではなかった。2018年6月、1人の予科生が苛烈なパワハラを苦に寮のバルコニーから身を投げた。家族は再発防止を求めたが“警鐘”は黙殺され……。

「夢を持ち、憧れだったところが、今は冷たく虚しい場所になりました」

そんな言葉で綴られた1通のメッセージは、次のように結ばれていた。

「劇団は、生徒全員へのフォローを何もしてくれません。まるで馬車馬のように私たちを働かせてきました。あの事件後、私たちは公演のお稽古に向き合う気持ちになれずにいます」

小誌に悲痛な心境を吐露したのは、宝塚歌劇団所属の現役メンバーの1人だ。

宙(そら)組に所属する娘役・有愛(ありあ)きい(享年25)が自死を遂げたのは、9月30日のことだ。小誌は前号で「タカラジェンヌ(25)自殺の真相 宝塚歌劇団は壮絶イジメを8カ月放置した」と題し、彼女が死の2日前、トップスター・芹香斗亜や組長・松風輝(あきら)らから「マインドが足りない!」「嘘つき野郎」などと罵声を浴びせられていた事実を報じた。現役の宙組メンバーを含む十数人の内部関係者の証言により炙り出されたのは、壮絶なイジメの実態ばかりでなく、それらを隠蔽し続けた劇団の膿だった。

発売後、さらに小誌には情報提供が相次いだ。冒頭のメッセージはその1つである。一方、劇団は有愛の死を受け、宙組公演を10月22日まで中止することを発表した。その間、外部の弁護士らで構成された調査チームが宙組の六十数人に聞き取りを行い、自殺の経緯を調べるという。だが、生徒たちからは疑問の声が噴出している。

「弁護士は名刺も渡さず、名前すら名乗ってくれない。ある生徒が『名刺をいただけますか』と聞いたところ『劇団の然るべき窓口に連絡してください』と拒否された。そのため、劇団が用意した弁護士の調査は『結論有りきなのでは』と生徒たちの間で不信感が生まれています。また、他組でもヒアリングが行われましたが、約80人の組子がいるにもかかわらず1日で終了するというお粗末なものだったそう」(宙組関係者)

10月上旬の夜、下級生の携帯電話が次々と鳴った。電話口で「さぁ、頑張ろう」と檄を飛ばしたのは、トップスターの芹香である。

「彼女は下級生に片っ端から電話を入れて鼓舞していましたが、新人公演メンバーからは『今回の件を招いた上級生と顔を合わすのは無理だ』『公演を続ける気になれない』という声が相次いでいます」(同前)

生徒たちが抱える動揺は他組にも伝播している。

「10月7日の記者会見直前、木場健之(こばけんし)歌劇団理事長が月組の稽古場で説明を行ったのですが、遺族の意向を理由に詳細な説明はなかった。にもかかわらず『週刊誌対策として専門のコンサル会社と連携した』と語るなど、支離滅裂な内容でした」(劇団関係者)

木場氏は会見で「1人ひとりの心のケアなどにも時間をかけ、生徒の心情に寄り添ってまいります」と語ったが、劇団の内情とあまりに乖離している。

「例えば、全組子について劇団は『いのちの電話』の番号を通知するのみ。カウンセラーが常駐するわけではなく、以前と変わらず産業医がいるだけ。『精神的にしんどい生徒は自分で電話してメンタルクリニックを受診するように』と言われています」(同前)

現在、宙組の退団希望者は全体の半数に近い三十数人に及ぶという。劇団は、なぜ“冷たく虚しい場所”に成り果てたのか。
0014名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/18(水) 22:07:41.69
宝塚は5年前の飛び降り事件も隠蔽していた 《真相追及第3弾》タカラジェンヌ飛び降り事件「週刊文春」編集部2023/10/18

“飛び降り”は今回が初めてではなかった。2018年6月、1人の予科生が苛烈なパワハラを苦に寮のバルコニーから身を投げた。家族は再発防止を求めたが“警鐘”は黙殺され……。

「夢を持ち、憧れだったところが、今は冷たく虚しい場所になりました」

 そんな言葉で綴られた1通のメッセージは、次のように結ばれていた。

「劇団は、生徒全員へのフォローを何もしてくれません。まるで馬車馬のように私たちを働かせてきました。あの事件後、私たちは公演のお稽古に向き合う気持ちになれずにいます」

 小誌に悲痛な心境を吐露したのは、宝塚歌劇団所属の現役メンバーの1人だ。

宙(そら)組に所属する娘役・有愛(ありあ)きい(享年25)が自死を遂げたのは、9月30日のことだ。小誌は前号で「タカラジェンヌ(25)自殺の真相 宝塚歌劇団は壮絶イジメを8カ月放置した」と題し、彼女が死の2日前、トップスター・芹香斗亜や組長・松風輝(あきら)らから「マインドが足りない!」「嘘つき野郎」などと罵声を浴びせられていた事実を報じた。現役の宙組メンバーを含む十数人の内部関係者の証言により炙り出されたのは、壮絶なイジメの実態ばかりでなく、それらを隠蔽し続けた劇団の膿だった。

発売後、さらに小誌には情報提供が相次いだ。冒頭のメッセージはその1つである。一方、劇団は有愛の死を受け、宙組公演を10月22日まで中止することを発表した。その間、外部の弁護士らで構成された調査チームが宙組の六十数人に聞き取りを行い、自殺の経緯を調べるという。だが、生徒たちからは疑問の声が噴出している。

「弁護士は名刺も渡さず、名前すら名乗ってくれない。ある生徒が『名刺をいただけますか』と聞いたところ『劇団の然るべき窓口に連絡してください』と拒否された。そのため、劇団が用意した弁護士の調査は『結論有りきなのでは』と生徒たちの間で不信感が生まれています。また、他組でもヒアリングが行われましたが、約80人の組子がいるにもかかわらず1日で終了するというお粗末なものだったそう」(宙組関係者)

10月上旬の夜、下級生の携帯電話が次々と鳴った。電話口で「さぁ、頑張ろう」と檄を飛ばしたのは、トップスターの芹香である。

「彼女は下級生に片っ端から電話を入れて鼓舞していましたが、新人公演メンバーからは『今回の件を招いた上級生と顔を合わすのは無理だ』『公演を続ける気になれない』という声が相次いでいます」(同前)

生徒たちが抱える動揺は他組にも伝播している。

「10月7日の記者会見直前、木場健之(こばけんし)歌劇団理事長が月組の稽古場で説明を行ったのですが、遺族の意向を理由に詳細な説明はなかった。にもかかわらず『週刊誌対策として専門のコンサル会社と連携した』と語るなど、支離滅裂な内容でした」(劇団関係者)

木場氏は会見で「1人ひとりの心のケアなどにも時間をかけ、生徒の心情に寄り添ってまいります」と語ったが、劇団の内情とあまりに乖離している。

「例えば、全組子について劇団は『いのちの電話』の番号を通知するのみ。カウンセラーが常駐するわけではなく、以前と変わらず産業医がいるだけ。『精神的にしんどい生徒は自分で電話してメンタルクリニックを受診するように』と言われています」(同前)

現在、宙組の退団希望者は全体の半数に近い三十数人に及ぶという。劇団は、なぜ“冷たく虚しい場所”に成り果てたのか。
0015名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/18(水) 22:09:56.57
宝塚は5年前の飛び降り事件も隠蔽していた 《真相追及第3弾》タカラジェンヌ飛び降り事件「週刊文春」編集部2023/10/18

“飛び降り”は今回が初めてではなかった。2018年6月、1人の予科生が苛烈なパワハラを苦に寮のバルコニーから身を投げた。家族は再発防止を求めたが“警鐘”は黙殺され……。

「夢を持ち、憧れだったところが、今は冷たく虚しい場所になりました」

そんな言葉で綴られた1通のメッセージは、次のように結ばれていた。

「劇団は、生徒全員へのフォローを何もしてくれません。まるで馬車馬のように私たちを働かせてきました。あの事件後、私たちは公演のお稽古に向き合う気持ちになれずにいます」

小誌に悲痛な心境を吐露したのは、宝塚歌劇団所属の現役メンバーの1人だ。

宙(そら)組に所属する娘役・有愛(ありあ)きい(享年25)が自死を遂げたのは、9月30日のことだ。小誌は前号で「タカラジェンヌ(25)自殺の真相 宝塚歌劇団は壮絶イジメを8カ月放置した」と題し、彼女が死の2日前、トップスター・芹香斗亜や組長・松風輝(あきら)らから「マインドが足りない!」「嘘つき野郎」などと罵声を浴びせられていた事実を報じた。現役の宙組メンバーを含む十数人の内部関係者の証言により炙り出されたのは、壮絶なイジメの実態ばかりでなく、それらを隠蔽し続けた劇団の膿だった。

発売後、さらに小誌には情報提供が相次いだ。冒頭のメッセージはその1つである。一方、劇団は有愛の死を受け、宙組公演を10月22日まで中止することを発表した。その間、外部の弁護士らで構成された調査チームが宙組の六十数人に聞き取りを行い、自殺の経緯を調べるという。だが、生徒たちからは疑問の声が噴出している。

「弁護士は名刺も渡さず、名前すら名乗ってくれない。ある生徒が『名刺をいただけますか』と聞いたところ『劇団の然るべき窓口に連絡してください』と拒否された。そのため、劇団が用意した弁護士の調査は『結論有りきなのでは』と生徒たちの間で不信感が生まれています。また、他組でもヒアリングが行われましたが、約80人の組子がいるにもかかわらず1日で終了するというお粗末なものだったそう」(宙組関係者)

10月上旬の夜、下級生の携帯電話が次々と鳴った。電話口で「さぁ、頑張ろう」と檄を飛ばしたのは、トップスターの芹香である。

「彼女は下級生に片っ端から電話を入れて鼓舞していましたが、新人公演メンバーからは『今回の件を招いた上級生と顔を合わすのは無理だ』『公演を続ける気になれない』という声が相次いでいます」(同前)
0016名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/18(水) 22:13:40.38
「フェルマータ」「ドーナツ」

「あの時、この事件が世間に出て、学校が真剣に再発防止に取り組んでくれていれば、今回のような悲しい結末にはならなかったと思います。そう考えると、本当に残念でなりません」

約5年前、宝塚音楽学校の予科生だったA子さんを襲った出来事について打ち明けるのは、バレエ業界に身を置く彼女の知人である。

「中学時代の彼女は、当時通っていた80人いるスクール生の中でも、ずば抜けてキラキラ感があった。顔が小さくて手足は長く、男役としての将来性を感じました。受け答えの際の言葉の選び方1つとっても非常に賢く、先生たちは『この子は1発で合格するな』と確信していました」

2018年、倍率24.1倍という狭き門を突破したA子さんは、夢の舞台への第一歩を踏み出す。同年4月17日、106期生40人の1人としてグレーの制服に身を包んだ彼女は、不安と期待が入り混じった表情で入学式に臨んだ。

それから1カ月余が経った5月27日。この日、宝塚大劇場の正面ゲートでは、ファンの間で新入生の初お披露目とも言われる「すみれ募金」が行われた。だが、A子さんの表情を見た知人は違和感を抱いたという。

「1カ月ぶりに見た彼女はキラキラ感が失われ、顔色が悪いように見えた。実は、この時点で彼女の心は折れかけていたのです」

彼女の身に、一体何が降り掛かったのか。

「入寮すると、彼女には指導担当の本科生B子さんが付きました。入学式前に課されたのは、本科生40人の名前と顔を記憶すること。それ自体は当たり前なのですが、彼女を苦しめたのは『予科事』と呼ばれる厳しい不文律でした」(同前)

上級生と向き合う際は、眉間に皺を寄せて口角を下げる「予科顔」を作る。遠方の上級生に大声で挨拶をする。ルール違反した予科生が本科生に謝る際、他の予科生も違反を自己申告して一緒に謝る「連続謝り」。その他、「予科事」は多岐に渡る。学校内にはこうしたパワハラの根が張り巡らされていた。閉鎖空間に身を置く生徒たちは、しばしば符牒を用いて会話をする。音楽記号の「フェルマータ」は、本科生が壁を背にした予科生を取り囲み罵倒する行為を指し、「ドーナツ」は本科生が予科生を360度取り囲んで面罵する様を意味する。

元劇団スタッフが明かす。

「イジメられた予科生が1年後に本科生になれば、今度は予科生をイジメる側になる。タカラジェンヌは全員が被害者であり、同時に加害者なのです」

寮内にある談話室で行われるミーティングは、本科生が予科生を叱りつける場だ。それは時に8時間に及ぶこともあった。こうした合理的根拠のない本科生の“指導”を受けたA子さんは、次第に追い詰められていく。ぎっしりと規則正しい文字が書かれたコクヨのノート。B子さんは彼女に対し、日々謝罪文を書くことを“強要”していた。

「例えば『教室の電気を切る順番を間違えてしまいました』という文句を1ページ30行、同じことを書かされ続けるのです。睡眠時間を削って書き続け、翌朝B子さんに提出。ところが、彼女は人一倍賢い子だったので“すみれ色”に染まらず『この世界はおかしい』と思い詰めてしまったのです」(前出・知人)

入学式から約2カ月後の6月半ばには、A子さんは学校職員に対し、心身の不調を訴える。だが、職員が彼女と向き合い、原因の把握に努めることはなかった。そして、6月17日夕刻、ついに最悪の事態が起きる。一連の経緯を知る学校関係者が明かす。

「この日は夕方まで外出が認められ、午後6時に談話室でミーティングが行われる予定でした。ところが、時間が過ぎても彼女が現れない。寮生たちが探し回ったところ敷地内に倒れているのを発見したのです」
0017名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/18(水) 22:15:34.09
「フェルマータ」「ドーナツ」

「あの時、この事件が世間に出て、学校が真剣に再発防止に取り組んでくれていれば、今回のような悲しい結末にはならなかったと思います。そう考えると、本当に残念でなりません」

約5年前、宝塚音楽学校の予科生だったA子さんを襲った出来事について打ち明けるのは、バレエ業界に身を置く彼女の知人である。

「中学時代の彼女は、当時通っていた80人いるスクール生の中でも、ずば抜けてキラキラ感があった。顔が小さくて手足は長く、男役としての将来性を感じました。受け答えの際の言葉の選び方1つとっても非常に賢く、先生たちは『この子は1発で合格するな』と確信していました」

2018年、倍率24.1倍という狭き門を突破したA子さんは、夢の舞台への第一歩を踏み出す。同年4月17日、106期生40人の1人としてグレーの制服に身を包んだ彼女は、不安と期待が入り混じった表情で入学式に臨んだ。

それから1カ月余が経った5月27日。この日、宝塚大劇場の正面ゲートでは、ファンの間で新入生の初お披露目とも言われる「すみれ募金」が行われた。だが、A子さんの表情を見た知人は違和感を抱いたという。

「1カ月ぶりに見た彼女はキラキラ感が失われ、顔色が悪いように見えた。実は、この時点で彼女の心は折れかけていたのです」

彼女の身に、一体何が降り掛かったのか。

「入寮すると、彼女には指導担当の本科生B子さんが付きました。入学式前に課されたのは、本科生40人の名前と顔を記憶すること。それ自体は当たり前なのですが、彼女を苦しめたのは『予科事』と呼ばれる厳しい不文律でした」(同前)

上級生と向き合う際は、眉間に皺を寄せて口角を下げる「予科顔」を作る。遠方の上級生に大声で挨拶をする。ルール違反した予科生が本科生に謝る際、他の予科生も違反を自己申告して一緒に謝る「連続謝り」。その他、「予科事」は多岐に渡る。学校内にはこうしたパワハラの根が張り巡らされていた。閉鎖空間に身を置く生徒たちは、しばしば符牒を用いて会話をする。音楽記号の「フェルマータ」は、本科生が壁を背にした予科生を取り囲み罵倒する行為を指し、「ドーナツ」は本科生が予科生を360度取り囲んで面罵する様を意味する。

元劇団スタッフが明かす。

「イジメられた予科生が1年後に本科生になれば、今度は予科生をイジメる側になる。タカラジェンヌは全員が被害者であり、同時に加害者なのです」

寮内にある談話室で行われるミーティングは、本科生が予科生を叱りつける場だ。それは時に8時間に及ぶこともあった。こうした合理的根拠のない本科生の“指導”を受けたA子さんは、次第に追い詰められていく。ぎっしりと規則正しい文字が書かれたコクヨのノート。B子さんは彼女に対し、日々謝罪文を書くことを“強要”していた。

「例えば『教室の電気を切る順番を間違えてしまいました』という文句を1ページ30行、同じことを書かされ続けるのです。睡眠時間を削って書き続け、翌朝B子さんに提出。ところが、彼女は人一倍賢い子だったので“すみれ色”に染まらず『この世界はおかしい』と思い詰めてしまったのです」(前出・知人)

入学式から約2カ月後の6月半ばには、A子さんは学校職員に対し、心身の不調を訴える。だが、職員が彼女と向き合い、原因の把握に努めることはなかった。そして、6月17日夕刻、ついに最悪の事態が起きる。一連の経緯を知る学校関係者が明かす。

「この日は夕方まで外出が認められ、午後6時に談話室でミーティングが行われる予定でした。ところが、時間が過ぎても彼女が現れない。寮生たちが探し回ったところ敷地内に倒れているのを発見したのです」
0018名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/18(水) 22:17:20.16
校長代行が「口外しないように」

地上7階建ての「すみれ寮」の1階には、広大な稽古場がある。そのため天井が高く、A子さんが飛び降りた2階のバルコニーは、地上8メートルを優に超える。全身を強く打った彼女は、兵庫県内の病院の集中治療室に搬送された。診断の結果は、全治3週間の全身打撲。だが、この出来事は学校内で巧妙に秘され、その後すぐに通常通りのレッスンが行われた。

「事件翌日、伊木常雄校長代行が寮生を集めて『口外しないように』という趣旨の指示を出した」(同前)

A子さんは集中治療室で約1週間過ごした後、実家での療養生活を余儀なくされる。B子さんの“指導”をパワハラと判断したA子さんの両親は、再三にわたり学校側に話し合いを求めた。だが、学校側が重い腰を上げたのは、約1カ月後の同年7月15日だった。

別の学校関係者が明かす。

「A子さんの両親は第三者委員会を設置して原因を解明すると共に、保護者会を開催して広く事実を公表することを強く求めていた。しかし、学校側は、調査に対して消極的な姿勢を崩さなかった」

学校側に保管されている音声メモ。そこには、伊木氏がA子さんの両親に対し、次のように語るシーンが収められている。

「白鳥が美しい姿を保つために水面下でやっているバタバタを、あえて見せるべきではない。今の段階でマスコミに知られるというのは、どう考えてもいい結果を生まないと思います」

それに対し、A子さんの父は次のように反駁する。

「白鳥の例えは、全く当てはまりません。美しい姿を保つために下足をバタバタさせるのは劇団員の努力であって当然必要なことだ。今回の件は、パワーハラスメントです」

三度目の協議が行われたのは、同年11月11日のこと。ホテルの会議室の席に座ったのは「創遊事業本部創遊統括部長」という肩書の人物だった。

「劇団を運営する阪急電鉄からトラブルシューターとして送り込まれたのが、当時、同社幹部だった木場理事長だった」(前出・学校関係者)

その日、木場氏とともに前出の伊木氏、事務長の堀内直哉氏、木場氏の部下である創遊統括部課長の竹上直子氏が居並んだ。その席で再発防止のためにも保護者会を開催すべきだと再三求めたA子さんの父に対し、木場氏は拒否。学校側からの「謝罪ノートの廃止」などの改革案を提示し、次のように述べたのだ。

「我々としては本当にできることはやってきておりますし、今後も信念を持って改革というのをきちんとやっていきたいと思っております。本当に抜本的にゼロベースで見直して取り組んでいくということ」

だが、彼らは最後までB子さんの言動をパワハラと認定せず、「行き過ぎた指導」という表現に終始した。さらに、学校側がA子さんの家族に詳細な調査結果を示すこともなかった。

その後、学校側は代理人弁護士を立て、同年末に退学したA子さんに約100万円の見舞金を提示。だが、交渉は遅々として進まず、学校側が約2年前に書面を郵送したのを最後に、両者は没交渉になっている。
0019名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/18(水) 22:18:44.23
校長代行が「口外しないように」

地上7階建ての「すみれ寮」の1階には、広大な稽古場がある。そのため天井が高く、A子さんが飛び降りた2階のバルコニーは、地上8メートルを優に超える。全身を強く打った彼女は、兵庫県内の病院の集中治療室に搬送された。診断の結果は、全治3週間の全身打撲。だが、この出来事は学校内で巧妙に秘され、その後すぐに通常通りのレッスンが行われた。

「事件翌日、伊木常雄校長代行が寮生を集めて『口外しないように』という趣旨の指示を出した」(同前)

A子さんは集中治療室で約1週間過ごした後、実家での療養生活を余儀なくされる。B子さんの“指導”をパワハラと判断したA子さんの両親は、再三にわたり学校側に話し合いを求めた。だが、学校側が重い腰を上げたのは、約1カ月後の同年7月15日だった。

別の学校関係者が明かす。

「A子さんの両親は第三者委員会を設置して原因を解明すると共に、保護者会を開催して広く事実を公表することを強く求めていた。しかし、学校側は、調査に対して消極的な姿勢を崩さなかった」

学校側に保管されている音声メモ。そこには、伊木氏がA子さんの両親に対し、次のように語るシーンが収められている。

「白鳥が美しい姿を保つために水面下でやっているバタバタを、あえて見せるべきではない。今の段階でマスコミに知られるというのは、どう考えてもいい結果を生まないと思います」

それに対し、A子さんの父は次のように反駁する。

「白鳥の例えは、全く当てはまりません。美しい姿を保つために下足をバタバタさせるのは劇団員の努力であって当然必要なことだ。今回の件は、パワーハラスメントです」

三度目の協議が行われたのは、同年11月11日のこと。ホテルの会議室の席に座ったのは「創遊事業本部創遊統括部長」という肩書の人物だった。

「劇団を運営する阪急電鉄からトラブルシューターとして送り込まれたのが、当時、同社幹部だった木場理事長だった」(前出・学校関係者)

その日、木場氏とともに前出の伊木氏、事務長の堀内直哉氏、木場氏の部下である創遊統括部課長の竹上直子氏が居並んだ。その席で再発防止のためにも保護者会を開催すべきだと再三求めたA子さんの父に対し、木場氏は拒否。学校側からの「謝罪ノートの廃止」などの改革案を提示し、次のように述べたのだ。

「我々としては本当にできることはやってきておりますし、今後も信念を持って改革というのをきちんとやっていきたいと思っております。本当に抜本的にゼロベースで見直して取り組んでいくということ」

だが、彼らは最後までB子さんの言動をパワハラと認定せず、「行き過ぎた指導」という表現に終始した。さらに、学校側がA子さんの家族に詳細な調査結果を示すこともなかった。

その後、学校側は代理人弁護士を立て、同年末に退学したA子さんに約100万円の見舞金を提示。だが、交渉は遅々として進まず、学校側が約2年前に書面を郵送したのを最後に、両者は没交渉になっている。
0020名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/18(水) 22:20:16.73
校長代行が「口外しないように」

地上7階建ての「すみれ寮」の1階には、広大な稽古場がある。そのため天井が高く、A子さんが飛び降りた2階のバルコニーは、地上8メートルを優に超える。全身を強く打った彼女は、兵庫県内の病院の集中治療室に搬送された。診断の結果は、全治3週間の全身打撲。だが、この出来事は学校内で巧妙に秘され、その後すぐに通常通りのレッスンが行われた。

「事件翌日、伊木常雄校長代行が寮生を集めて『口外しないように』という趣旨の指示を出した」(同前)

A子さんは集中治療室で約1週間過ごした後、実家での療養生活を余儀なくされる。B子さんの“指導”をパワハラと判断したA子さんの両親は、再三にわたり学校側に話し合いを求めた。だが、学校側が重い腰を上げたのは、約1カ月後の同年7月15日だった。

別の学校関係者が明かす。

「A子さんの両親は第三者委員会を設置して原因を解明すると共に、保護者会を開催して広く事実を公表することを強く求めていた。しかし、学校側は、調査に対して消極的な姿勢を崩さなかった」

学校側に保管されている音声メモ。そこには、伊木氏がA子さんの両親に対し、次のように語るシーンが収められている。

「白鳥が美しい姿を保つために水面下でやっているバタバタを、あえて見せるべきではない。今の段階でマスコミに知られるというのは、どう考えてもいい結果を生まないと思います」

それに対し、A子さんの父は次のように反駁する。

「白鳥の例えは、全く当てはまりません。美しい姿を保つために下足をバタバタさせるのは劇団員の努力であって当然必要なことだ。今回の件は、パワーハラスメントです」

三度目の協議が行われたのは、同年11月11日のこと。ホテルの会議室の席に座ったのは「創遊事業本部創遊統括部長」という肩書の人物だった。

「劇団を運営する阪急電鉄からトラブルシューターとして送り込まれたのが、当時、同社幹部だった木場理事長だった」(前出・学校関係者)

その日、木場氏とともに前出の伊木氏、事務長の堀内直哉氏、木場氏の部下である創遊統括部課長の竹上直子氏が居並んだ。その席で再発防止のためにも保護者会を開催すべきだと再三求めたA子さんの父に対し、木場氏は拒否。学校側からの「謝罪ノートの廃止」などの改革案を提示し、次のように述べたのだ。

「我々としては本当にできることはやってきておりますし、今後も信念を持って改革というのをきちんとやっていきたいと思っております。本当に抜本的にゼロベースで見直して取り組んでいくということ」

だが、彼らは最後までB子さんの言動をパワハラと認定せず、「行き過ぎた指導」という表現に終始した。さらに、学校側がA子さんの家族に詳細な調査結果を示すこともなかった。

その後、学校側は代理人弁護士を立て、同年末に退学したA子さんに約100万円の見舞金を提示。だが、交渉は遅々として進まず、学校側が約2年前に書面を郵送したのを最後に、両者は没交渉になっている。
0021名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/18(水) 22:22:26.56
当事者たちは今、どのように答えるのか。伊木氏の自宅を訪ねると、インターフォン越しにこう語った。

――2018年、伊木さんが校長代行だった時、バルコニーからA子さんが飛び降りる事件が起きた。

「はい。覚えていますよ」

――計3回、話し合いの場を持ったのは事実か。

「そうですね。学校のほうでちゃんと対応して、親御さんとも話をするようにしていましたからね」

――謝罪はあったのか。

「それは『管理が不十分で、そういう目に遭わせてしまって……』と言うことで、ちゃんと親御さんに直接お会いして謝罪はしました」

――両親は保護者会や第三者による調査を求めていたが、実現していない?

「第三者の(調査)は……ないですね」

――A子さんはその年の暮れに寮を出ているが、伊木さんはどのような言葉をかけた?

「『いろいろ辛い思いをさせて申し訳なかったです』という謝罪。親御さんにも本人にももちろん言いましたし、『また新しい道をちゃんと頑張って歩む』という彼女の言葉もありましたんでね。だから、私からは『まだ若いし、新しい気持ちになって頑張ってほしい』という激励はしたと思います」

――その後、見舞金の交渉で弁護士を立てたが、解決に至っていない?

「それはもう……私が与り知らぬことで、あとは親御さんがどんなふうに思ってはるかというだけの話だと思いますね」
0022名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/18(水) 22:24:25.74
「隠蔽体質は変わってない」

当時、生徒課長だった小山佳子氏は、元タカラジェンヌとして生徒と向き合う役割だった。A子さんの事件について電話で尋ねると「やるべきことはきちんとやりましたけど」と話し、次のように言葉を続けた。

――そういうことが起こるサインは見抜けなかった?
「それは人それぞれなので。あの……その人のメンタルの強さとかもありますし」

――保護者会は、なぜ開かなかったのか。
「私、生徒課長といっても大した地位でもありませんし、もうちょっと上の方に聞いてもらわないと」

――B子さんの厳しい指導があったと聞いている。
「それは特別そういうことはないですね」

――調査をされた上でそう結論づけた?
「そうです」

木場氏はどう受け止めているのか。10月16日夜10時半過ぎ、宝塚大劇場の通用口から早足で飛び出してきた木場氏を直撃したが、終始無言を貫き、家族の運転する車に身を隠した。宝塚音楽学校に取材を申し込むと、次のように回答した。

「本事案については、元生徒ご本人のプライバシーに大きく関わるため、詳細の説明は控えさせていただきますが、当時、生徒の自主性を尊重するあまり、指導の状況が十分に把握できておらず、その結果、当該予科生のみならず、全体として、生徒に過度な負担がかかる状況になっていたことについては、学校としての管理責任を強く感じております」

当時、公表しなかった理由については「ご本人のこれからの人生やプライバシーを守るため、公表はいたしませんでした」。謝罪の有無については言及を避け、見舞金について「現在、弁護士を代理人に選定して、ご両親と協議中」とした。

他方、A子さんの父に取材を申し込むと「あの出来事について私の口からは語ることはできません」と口を噤む。だが、今回の有愛が辿った悲劇に話題を移すと、重い口を開いた。

「1つ言えることは、宝塚の隠蔽体質は当時から何一つ変わっていないということです」

さらに、学校側の幹部が異口同音に「謝罪した」と述べていることを告げると、次のように否定するのだ。

「退寮のために宝塚に出向いた日は、正式な謝罪の場ではありませんでした。その場には、再三求めてきたB子さんも同席していません。彼らが『謝罪した』と主張することに違和感を覚えます」

来年、創立110周年の記念すべき年を迎える宝塚歌劇団。厳かな伝統より、ファンの喝采より、真に大切なもの。それは生徒たちの命と尊厳を守ることではなかっただろうか。
0023名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/18(水) 22:27:54.33
宝塚音楽学校OG、本科生の指導「ハラスメントだった」
https://www.asahi.com/articles/ASN9C7SJMN92PTFC00G.html

107年の歴史を誇る宝塚音楽学校(兵庫県宝塚市)が、長年続いた生徒間の指導内容を見直した。「先輩は絶対」の価値観で育ったOGたちのなかには、「根本的な改革になるのか」と危惧する声も。一方で「代々の習慣を時代に合わせて見直したという点で意義がある」と識者はみる。

 「理不尽なことに耐える精神力は鍛えられましたが、もう二度と戻りたくありません」。元雪組トップスターたかね吹々己(ふぶき)(旧芸名・高嶺ふぶき)さん(54)は、学校生活をそう振り返る。

1981年に首席で入学した69期生。当時から、生徒が阪急電車にお辞儀をするのは当たり前だった。「車掌さんへのお礼の気持ちでした。『私が乗っていたのにあいさつがなかった』と後で本科生から叱られないようにという理由もありましたが……」

予科生に課せられた決まり事で、今回廃止された「予科顔」や「予科語」は、コアファンの間では知られた言葉。ただいつごろ始まったかは分からず、たかねさんにも覚えはない。「そんな不思議なルールはなかったはず。でも本科生に目を付けられないよう、ビクビクおびえる日々だったのは確かです」

指導には個人差があったが、なかには手元の譜面を見ていただけで「寝ていた」と怒る人も。反省文を渡せば「渡し方が気にくわない」と、読まずにその場で破り捨てられたこともある。

多くの音楽学校生たちが暮らす寮生活も厳しかった。消灯後も、廊下に明け方まで立っているよう本科生に言われ、「1時間も眠れない日もありました」。

シャワーも満足に浴びることのできない過酷な環境の中で、若い体は知らぬ間に追い詰められていった。夏休み前、たかねさんは急に40度近くの高熱にうなされ、1週間ほど学校を休んだ。

今の予科生たちが、睡眠や自由時間をきちんと確保できているかが心配だ。「10代の健康に害を及ぼすことや、理不尽でおかしな規則は徹底的になくしてほしい」と話す。

また「予科生の規則うんぬんが言われがちですが、本当は、後輩を指導する立場の本科生の心構えが大切かもしれませんね」とも指摘する。

それでも「学校では、人として大切な姿勢も教えてもらった」とも思う。「連帯責任をたたきこまれて、自然と同期の苦手なことを理解して、どうすればミスを防げるかを互いに気遣うようになりました。宝塚の舞台はロケット(ラインダンス)や群舞など、大人数で同じ振りをそろえる場面も多い。周りに気を配る経験は確かに舞台でも生きたと思います」
0024名無しさん@お腹いっぱい。2023/10/18(水) 22:33:16.02
上級生から下級生へ、「伝統」のもとに受け継がれた指導。「あれはハラスメントだった」と、2003年に入学した91期生の東小雪(ひがしこゆき)さん(35)は、今振り返ってそう思う。

「予科顔」や「予科語」など数々の決まりに入学早々強い違和感を覚えた。「でも環境に適応するために、受け入れざるを得ませんでした」

ほかにもある。たとえば「歩き」。放課後、夜9時ごろまで校舎の廊下をひたすら往復させられた。指導係の本科生がレッスンを終えて廊下に姿を現したら、すぐさまその日の反省を伝えるためだという。

連日、本科生から一つ一つの言動を点検されて怒られる。「制服のボタンが曲がっていた」「表情が気にくわない」。言いがかりと思うことも多かったが、逆らえなかった。

指導の名目で同期全員が1番教室に集められ、指名されると本科生から厳しく責められる「シメ」も行われた。

下校しても過酷な寮生活が待っていた。深夜や明け方まで本科生の指導が続き、「慢性的な睡眠不足で、同期内でカフェイン入りの錠剤やドリンクがはやりました」。入学の2カ月後、ついに心の糸が切れ、寮から数日脱走した。

一方で本科にあがる直前、先輩から「シメ」などの指導方法が伝授された。「宝塚の伝統」「先輩も通った道」と自らに言い聞かせ、やられたことを繰り返してしまったことをいまは悔やむ。

そんな東さんも、こうした経験を正面から見つめ直すには時間が必要だった。2006年に退団し、宝塚から離れて数年後。実体験を笑い話にしていたら「笑って話すことじゃないよ」と周りから指摘され、はっとした。「暴力的な指導まで、美談や笑い話として回収するのはまずい」と思うようになった。

期によって、指導の一部が変わることはあるという。「でも、私の頃もハラスメントは続いていました。被害者が今度は加害者になるという『負の連鎖』に、すぐに取り込まれてしまいました」。先輩の誰が悪いというような個人の問題ではなく、「組織の中で続いた構造的な問題」だと受け止めている。

今回、見直しに取り組んだこと自体は肯定的に受け止めており「変わるきっかけになれば」と強く願う。ただ「枝葉が変わっても、問題の根っこに向き合わないと、同じことが繰り返されてしまうのでは」との危惧がぬぐえない。

創設時から、宝塚の劇団員は劇場内外で規律正しさを厳しく求められてきた。

宝塚歌劇に詳しい立命館大文学部の宮本直美教授(文化社会学)は、創始者・小林一三(いちぞう)の教えに触れて「華やかな世界だからこそ、規律正しく生きるべきだという価値観が根本にある」という。

宝塚歌劇の特徴にも言及する。一般的な演劇やショーとは異なり、舞台に立つのは音楽学校の卒業生のみ。歌などの技術だけでなく所作や規律を受け継ぐことで、様式美を形作ってきたと説明する。

そのうえで、一対一の「指導」が密室で行われる場合、過剰になる危険性があると指摘。「スポーツや会社でも起こりうることだが、可視化することで防げる部分はある」と話し、「規則や習慣のなかには形骸化したものもある。創設当時の理念はそのまま、方法は時代にあわせて合理的になったといえるのではないか」と受け止めている。
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