「兇悪の無実」
顔ながのキャラ造形は素晴らしいよ。あれはデヴィッド・リンチ「ツインピークス」に
後半出てくる髭面長髪男だな。
あるいはスメルジャコフ的というか、うなぎ的というか。リンチのあれは、たまたま画面に
映り込んだ音声係かなにかなのだけれど、そういう何かしら意味のある偶然に導かれでも
しないと生まれないキャラクターだ。問答無用
ただ、絵画の「警察官殺し」の構図がいまいちよくわからない。「顔なが」は画面左下に
「註釈のように」描かれていたのだけれど、だとすれば背をこちらには背を向けるはずだ。
事件の一部始終を見届けているのだから。なのに、その目付きや表情にまで主人公は言及している。
(31話〜34話)とにかくあれだよ、ヒンズーの山車のメタファーとか、風の音に耳を澄ませ
ろとか、橋本治虫のファンにはある意味で集大成的な作品ではあるのだろう。でも、結局は
はウィトゲンシュタインのパラフレーズに集約されるでしょ