うどんといえば香川だが、近年、その絶対的地位を揺るがさんと名乗りを上げた県がある。

「それは埼玉県です」

と言うのは、フードジャーナリスト・はんつ遠藤氏。はんつ氏は、こう続ける。

「首都圏のうどん屋を紹介する本を20年前から出していますが、10年ほど前に“埼玉のうどんは、すごいぞ”と、僕をはじめ、うどん好きが気づき始めた。県内では、もともと盛り上がっていましたが、最近ようやく、全国の人にも知られるようになったんです」
意外にも、埼玉におけるうどんの歴史は古い。

「もともと埼玉は小麦粉文化。小麦粉の生産量が多く、かつては自宅でも、うどんを打って食べていました。“うどんが打てないと、お嫁にいけない”という俗説もあったほどなんです」(前同